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西川周作はなぜ37歳で“全盛期”を迎えたのか?「次の試合で(鈴木)彩艶を使ってみたい」浦和レッズの守護神がいま明かす“先発落ちの真実”
posted2023/09/18 11:04
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takashi Shimizu
2年前、鈴木彩艶にポジションを奪われた日
安定感。
シンプルな言葉で、ここ数年の西川周作を表現するとそういうことになるのかもしれない。けれど、たとえば経験に裏打ちされた“貫禄”だけで生み出される安定感と、現在の西川の安定感は別モノだ。
また「スーパーセーブ」や「当たっている」といったゴールキーパー(GK)の活躍を言語化するときに用いられる言葉の数々が、西川のプレーには当てはまらない印象を受ける。相手のカウンター攻撃から放たれた決定的なシュートを腕一本で弾き飛ばせば、確かにスーパーなセーブではある。けれど、西川のなかでは確信があり、合理的な判断によって導かれた“必然”のプレーなのではないかと思えるのだ。
そんな西川の変化は、鈴木彩艶(現シント・トロイデン)という有望な若手の登場、そしてジョアン・ミレッGKコーチとの出会いに起因していた。
◆◆◆
――GKは他のポジションに比べると、レギュラーとサブが明確に分かれている印象があります。2021年のJ1第13節以降、浦和レッズでは鈴木彩艶選手が先発し、西川選手はしばらく控えに回りましたが、当時はどう受け止めましたか?
「第12節のアビスパ戦は僕のワンプレーのミスで失点し、負けてしまった。その後、監督から『次の試合で彩艶を使ってみたい』と言われたんです」
――鈴木選手はアンダーカテゴリーの日本代表でも活躍し、有望な若手として注目を集めていました。
「どのクラブでも若手を起用して、育てていこうという空気は当然ありますよね。僕にとっても彩艶が加入したことは、刺激にもなったし、プレッシャーにもなった。もう一段うまくならないと、自分が浦和レッズのゴール前に立つ意味がないだろうと改めて考えました。レッズは常に結果を求められるクラブだから」