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西川周作はなぜ37歳で“全盛期”を迎えたのか?「次の試合で(鈴木)彩艶を使ってみたい」浦和レッズの守護神がいま明かす“先発落ちの真実”
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakashi Shimizu
posted2023/09/18 11:04
浦和レッズの堅守を支える元日本代表GK・西川周作。2021年に一度はポジションを失ったものの、その後は絶対的な守護神として君臨している
「自分のやり方を1回リセットしてくれ」
――ジョアン・ミレッGKコーチは、1960年生まれのスペイン人で若くして指導者に転向。2013年の湘南ベルマーレのアカデミーGKプロジェクトリーダー就任を機に来日し、FC東京などで仕事をした方ですね。
「FC東京でジョアンの指導を受けていた林(彰洋/現ベガルタ仙台)から、どういうコーチかということは聞いていたんです。『講義が多いよ。話は長いかもしれないけど、理解できたら楽しくなるよ』と。実際、グラウンドで1時間近く話を聞いていることもありました」
――それは長いですね。選手としては、ボールに触らないと楽しくないのでは?
「でも、その話が面白いというか、とても興味深いんですよ。そもそも最初の一言が、『自分のやり方を1回リセットしてくれ』だったんです」
――どう受け止めましたか? 重ねたキャリアがあればあるほど、『えっ?』となりませんか?
「なりませんでした(笑)。『これに賭けてみよう』と思いましたね」
――ベテラン選手がいざ「成長するぞ」と思っても、無意識のうちに思考が保守的になっていることも少なくない。そんなときに「過去は全部なかったことにしましょう」と言われたら、刺激的だし、新鮮ですよね。
「自分は先発でプレーしていたけれど、このままで良いとは思っていなかったから、一度、自分がやってきたことをリセットして、しっかりと話を聞こうと思っていました。全部吸収してやろう、と。まずはジョアンが言うことをやってみてから、考えればいいだけだから」
――実際、ミレッGKコーチの指導は非常に刺激的だったと聞いています。
「いろんな面で今までのGKコーチとは違う面がありますね。キャッチングの方法、ボールの弾き方や、どこへ弾くかということ。ポジショニング、ステップの数、脚の運び方など、基礎的なことからすべて徹底してトレーニングしました。体の使い方とか、今まで当たり前にやっていたプレーを根本から覆されることもあります。しかも、その理由を明確に話してくれるんですよね。
今までいろんなコーチに教わってきたことも、もちろん大事なんです。でもジョアンは、本当のGKとしての動き方とか、ミスをしたときの動き方、解決方法などを原理的に教えてくれたという意味では、初めてのコーチでした」