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「25~26歳にはプレミアで」藤田譲瑠チマが語る“バランス型MFの理想”と10代で築いたベース「嘉人さんにはたくさん怒られましたけど…」
posted2023/09/18 11:03
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
地元の街クラブである町田大蔵FCで藤田譲瑠チマがボールを蹴っていた小学生時代、ヨーロッパでは、ペップ・グアルディオラ率いるバルセロナがこの世の春を謳歌していた。
だが、譲瑠少年の心を奪ったのは、“ガナーズ(砲撃手)”の愛称で親しまれる北ロンドンの名門クラブだった。
「(バルサが強かった)小3や小4の頃はまだそんなに海外サッカーに詳しくなくて。小6の頃にYouTubeでたまたまアーセナルの試合を見たんですよね。カソルラとかエジルが中心だったころで、縦パスが入ってからポンポンポンって繋いでゴールに迫っていく姿に魅了されて、すごく好きになった。それで『将来はアーセナルに行きたい』って文集に書いたんです。ただ、当時はそこまで具体的な夢ではなくて。海外サッカーに詳しくなっていくうちに、やっぱりプレミアリーグが世界一のリーグなんだなって」
「25~26歳にはプレミアで」を叶えるために
東京ヴェルディのアカデミーを経てプロ入りすると、「25~26歳にはプレミアリーグでプレーしていたい」と公言するようになる。
そして今夏、21歳にしてベルギー1部のシント・トロイデンに移籍し、夢実現のとば口に立った。
譲瑠がプレーするベルギーリーグは、欧州5大リーグへのステップアップを目指す選手たちが集まるリーグである。それだけに、多くのスカウトが“ダイヤの原石”や“掘り出し物”、“埋もれた即戦力”を獲得すべく、目を光らせている。
シント・トロイデンの先輩では、冨安健洋(現アーセナル)がボローニャへとステップアップし、鎌田大地(現ラツィオ)はフランクフルトへのレンタルバックを勝ち取った。
ユニオン・サン=ジロワーズに期限付き移籍をした三笘薫もこのリーグで結果を残し、1シーズンでブライトンに呼び戻された。セルクル・ブリュッヘで22点を叩き出した上田綺世も今夏、フェイエノールトに引き抜かれた。
欧州のスカウトの目にとまる可能性は、極東のリーグでプレーしているのとは比べものにならないほど高く、実力次第でいくらでも駆け上がっていける――欧州でプレーするということは、そういうことなのだ。
お手本のひとりを「カンテ」と挙げたら…
そんなリーグにおいて、譲瑠はスカウトに、どんな選手だと見られたいのだろうか。つまり、サッカー選手としての自分をどうアピールしたいのか。