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西川周作はなぜ37歳で“全盛期”を迎えたのか?「次の試合で(鈴木)彩艶を使ってみたい」浦和レッズの守護神がいま明かす“先発落ちの真実” 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakashi Shimizu

posted2023/09/18 11:04

西川周作はなぜ37歳で“全盛期”を迎えたのか?「次の試合で(鈴木)彩艶を使ってみたい」浦和レッズの守護神がいま明かす“先発落ちの真実”<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

浦和レッズの堅守を支える元日本代表GK・西川周作。2021年に一度はポジションを失ったものの、その後は絶対的な守護神として君臨している

先発を外れて、課題がクリアになった

――若手の台頭を受けてポジションを奪われたベテラン選手としては、不安というか、弱気になることもあったのではないでしょうか?

「一抹の不安や弱気はあったかもしれないけれど、逆にこれはチャンスだと思えるようになりました。矢印をしっかりと自分に向けて、もうひとつ成長するためにこの時間を大事にしなければならない、絶対に無駄にしない、と」

――それはスタメンを外れた理由が、自分にあると考えたから?

「そうですね。実は僕自身、自分のプレーにもどかしさがあったんです。どうも腑に落ちないというか……。リカルド(・ロドリゲス/2021-22年)が監督に就任して、チームのサッカーも変わりました。その変化に応じたプレーを模索していたんです。自分がやろうとしているイメージと、監督の掲げるイメージを合わせるのに時間がかかっていました。結果、自分の良さを出すよりも、チームに合わせようとしすぎていた」

――それによって、西川周作らしさが消えていくと。

「リカルドはショートパスを真ん中につけて……というスタイルでした。僕はショートパスがうまいほうじゃない。どちらかと言えば、ロングキックや中距離に合わせるキックを持ち味にしているので。リカルドのサッカーに必要な感覚やタイミングは初めての経験だった。そういう感覚的な戸惑いは確かにありました。自分の良さを出せていないな、と感じていたんです」

――そういったモヤモヤというか、スッキリしない感情があっても、試合が続くなかで整理するのは難しいですよね。そんなときに先発を外れたことで、自分を見つめなおす時間を得られたのかもしれません。

「居残り練習をやって、普段はできないようなトレーニングも重ねました。Jエリートリーグの試合にも出させてもらった。リーグ戦は出られなくても、ルヴァンカップや天皇杯はある。虎視眈々と復帰を狙っていました。そういうなかで、吹っ切れたんです。まずは自分の良さを出して、そのうえでチームに還元していくという考えに切り替えられました」

――第19節で先発復帰し、その後もポジションを譲ることなくシーズンを終えました。結果的には同じプレーだったとしても、迷いなくプレーしているかどうかは違いますね。

「先発を外れていた期間で、自分のなかで課題がクリアになったのは大きかったと思います。そして2022年、ジョアン・ミレッがGKコーチになったことで、思考が一気に変わりました」

――思考が変わる?

「はい。まったく変わりましたね」

【次ページ】 「自分のやり方を1回リセットしてくれ」

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