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「ボールポゼッションは圧倒的にドイツだが…」トルシエも注目する日本×ドイツ戦「日本を本気で倒しにくる素晴らしいテストになる」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/09/09 11:00
今年2月にベトナム代表監督に就任したトルシエは、今なおアジアサッカーの動向を注視している
──組織をベースにしたコレクティブなスタイルですね。
トルシエ ベトナムにはひとりで違いを作り出せる選手がいない。だからコレクティブな力に頼らざるを得ない。1~2試合ならサプライズは可能だが、予選を突破するには大国に対して5~6試合でそれを成し遂げねばならない。とても厳しいチャレンジだが、手応えも感じている。思い出すのはナイジェリアで開催された1999年のU20ワールドユース選手権で日本が、ヨーロッパや世界の強豪を相手にコレクティブな戦いで勝利を重ねたことだ(日本はFIFAの世界大会で初めて決勝に進出)。私の頭の中には、コレクティブな力で個の力を凌駕できるという確信がずっとある。
W杯以来のドイツ戦の見どころ
──話を日本代表に戻しますが、日本は9月のヨーロッパ遠征でドイツ、トルコと対戦します。
トルシエ ドイツ戦は日本にとって素晴らしいテストになる。W杯のリベンジに燃えるドイツが、ホームで日本を本気で倒しにくるからだ。通常の親善試合とは異なる様相の戦いになるだろう。
ボールポゼッションは圧倒的にドイツだろう。しかし日本も守りながらゲームをコントロールし、機会をうかがってイニシアチブを取り攻撃を仕掛ける。日本にそれが可能であるのは、W杯でも証明された。それだけの武器──個の力を今の日本代表は持っている。
トルコ戦も注目に値する試合だ。たしかに今のトルコにはかつての強さはないが(7月のFIFAランキングで日本は20位、トルコは41位)、それでもポテンシャルは高く決して侮れない相手だ。
──2002年W杯以来の対戦です。
トルシエ あの試合(2002年6月18日、ラウンド16でトルコと対戦した日本は、0対1で敗れ準々決勝進出を阻まれた)は、日本の人々には今も苦い思い出だろう。もちろん私にとってもだ。その意味でも注目したいと思っている。
──そうですね。メルシー、フィリップ。
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