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「ボールポゼッションは圧倒的にドイツだが…」トルシエも注目する日本×ドイツ戦「日本を本気で倒しにくる素晴らしいテストになる」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2023/09/09 11:00

「ボールポゼッションは圧倒的にドイツだが…」トルシエも注目する日本×ドイツ戦「日本を本気で倒しにくる素晴らしいテストになる」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今年2月にベトナム代表監督に就任したトルシエは、今なおアジアサッカーの動向を注視している

──森保監督も、ベトナムはあなたが監督だから警戒する必要があると言っています。

トルシエ 彼がそう言ってくれるのは嬉しいし名誉なことだ。彼が私の仕事を尊重しているのも知っている。だからベトナム戦を軽視していない。トルシエ率いるベトナムに対して、しっかりと準備してくるだろう。1月14日の試合に照準を合わせてくるはずだ。

──あなたはベトナム代表のプレースタイルを完全に変えました。

トルシエ 今のベトナムはボールをコントロールしてカウンターアタックに頼ってはいない。自分たちでイニシアチブを握ろうとするスタイルだ。自分たちで合理的に判断する。少ない時間のなかですでに多くのことを変えた。

──まずはピッチの上で、ということですね。

トルシエ これまでとは異なる組織やプレーの構築──ディフェンスラインからボールをコントロールしてプレーを構築していくスタイルだ。尽きることなく攻撃を繰り出し、左右両サイドから等しく攻撃を繰り返す。

アジアトップ10への野望

──カンボジアで私が見たのも(ベトナムU22代表が参加した今年4〜5月開催のシーゲームス)、スピーディかつ効率的な今日のサッカーのスタイルでした。

トルシエ 日本的なスタイルと言ってもいい。

──類似点はたくさんあります。この方向にこそベトナム代表は進化していくべきと考えているのですね。

トルシエ アジアのトップ10に挑むためには──それがベトナムの野心でもあるが、少なくともW杯の3次予選に進まねばならない。その野心はプレーのイニシアチブを握るサッカー哲学によって実現する。プレーをコントロールし、耐えることや相手をコントロールすることも覚える。スペースを作るために相手をこちらの思うように動かす。それこそがアジアのトップ10に挑むための哲学だ。それにはカウンターアタックだけでは不十分だ。たしかにカウンターアタックは驚きであり、武器として活用すべきではあるが、今は別の哲学、別のやり方でサッカーを実践していくことだ。

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