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慶応の応援“まとめる重要人物”に直撃「なぜあんなに声揃う?」…あの音圧を生む応援団「決められたルールない」「吹奏楽部OBもすべて男性」 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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posted2023/08/23 11:02

慶応の応援“まとめる重要人物”に直撃「なぜあんなに声揃う?」…あの音圧を生む応援団「決められたルールない」「吹奏楽部OBもすべて男性」<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

慶応の大応援…「なぜあれほど声が揃うのか?」吹奏楽部とチア、応援指導部をまとめる総合コーチに聞いた

 選手ごとの曲や、「ランナー2塁時にチャンステーマを演奏する」「5回にはこの曲」といった決められたルールはないが、練習せずともスタンド全体が一体となってコールできるのは、卒業生たちが慣れ親しんだ大学の曲を多く使用しているからということも大いにあるだろう。

『森林が足りない』導入の意図は?

 現在の高校野球応援曲でもっとも多いパターンは、『狙いうち』『サウスポー』『宇宙戦艦ヤマト』『ルパン三世』など、昔から使われている昭和の歌謡曲・アニメ曲や、千葉ロッテマリーンズや阪神タイガースなど、プロ野球のチャンステーマを取り入れるというスタイル。そのようなベース曲があり、野球部のリクエスト曲をプラスするという学校も多く、今大会で目立ったのは、YOASOBIの『アイドル』や、HoneyWorksの『可愛くてごめん』、『ジャンボリミッキー!』など、TikTokやYouTubeから広まったヒット曲を加えるといった具合だ。

 しかし、慶応高の場合はほとんどが大学のオリジナル曲。高校独自でやるのは、オリジナル曲の『烈火』と、アニメ『メジャー』のオープニング曲『心絵』、「中だるみしがちな6回でやる」という、『森林が足りない』くらいだ。『森林が足りない』は、今年大流行した応援『盛り上がりが足りない』を監督の名前にアレンジしたものだが、これを取り入れることにもさまざまな意見があったという。

「神奈川県大会で吹奏楽部が来られない時に始めた応援ですが、もともと他の学校でもやっていたものなので、塾高がやることにはさまざまな意見がありました。でも、自分たちの応援にこのようなある種異質な応援を取り入れることで、試合の流れを変えることが出来るかもしれない、という期待もあったのだと思います」

ブラバン研究家が考える…あの「音圧」の理由

 横浜スタジアムや甲子園のアルプススタンドで慶応高の演奏を聴いていると、驚かされるのはその“音圧”だ。すさまじいまでの勢いと音量は、男子校ならではの特徴ではないかと、吹奏楽部出身の筆者は考える。演奏だけではなく、野太い声による掛け声や声援もそうだ。

【次ページ】 「『若き血』は我々のアイデンティティ」

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