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仙台育英「夏46勝」歴代何位? 慶応は「103年前の決勝、甲子園じゃないの?」ユニは似てるけど対照的な両校の歴史・OB大調査
posted2023/08/23 11:04
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
厳しい暑さの中、今年の夏の甲子園、第105回全国高等学校野球選手権記念大会も何とか決勝を迎えた。今年は慶応義塾高校と仙台育英高校の顔合わせとなった。大きな盛り上がりを見せ、ともに名門私学ではあるが――この顔合わせは予想外と言っても良いのではないか。
両校の歴史、戦績、プロ入りしたOBの実績などを比較しよう。勝利数は今年準決勝まで。ただし準優勝、優勝回数は今大会前までのものとする。
夏の甲子園30回出場は4位タイ、通算46勝は歴代6位
【仙台育英学園高等学校】
宮城県仙台市にある私学。学校の創立は1905年創立の育英塾まで遡ることができる。
夏の甲子園の予選に当たる選手権地方大会には1930年から参加。以来、春15回、夏30回甲子園に出場。春夏合わせて45回の甲子園出場は、史上11位タイ、夏の甲子園30回出場は4位タイ。
甲子園での戦績は、春が16勝14敗、準優勝1回、夏が46勝28敗、優勝1回、準優勝2回。夏の46勝は歴代6位。東北6県では最強校と言ってよいだろう。
昨年の第104回選手権大会で初優勝。「深紅の優勝旗が初めて白河の関を越えた」と言われた。なお慶応義塾高校と似たデザインのユニフォームは、同校の理事長で高校の校長である加藤雄彦氏が慶応義塾大出身であることから参考にされたという。
〈今季の宮城大会以降の戦績〉
・選手権宮城大会
7月14日 (2回戦)大崎中央 8対1〇
7月17日 (3回戦)富谷 12対0〇
7月20日 (準々決勝)東北 5対0〇
7月22日 (準決勝)東陵 8対1〇
7月23日 (決勝)仙台城南 18対0〇
・選手権全国大会
8月6日 (1回戦)浦和学院 19対9〇
8月12日 (2回戦)聖光学院 8対2〇
8月17日 (3回戦)履正社 4対3〇
8月19日 (準々決勝)花巻東 9対4〇
8月21日 (準決勝)神村学園 6対2〇
宮城大会は51得点2失点という圧倒的な強さで勝ち抜いた。
東北勢との対戦では、今年6月の春季東北大会で、青森の八戸学院光星に敗れたのを最後に無敗。甲子園では46得点20失点。3回戦の履正社高戦は1点差勝負となったが、それ以外は4点以上の差をつけて決勝まで勝ち進んだ。
仙台育英は今年優勝すれば、夏の甲子園連覇となる。これは過去に6例ある。
〈夏の甲子園連覇校〉
和歌山中(和歌山県)1921年、1922年
広島商(広島県)1929年、1930年
中京商(愛知県)1931年、1932年、1933年(3連覇)
海草中(和歌山県)1939年、1940年
小倉中、小倉高(福岡県)1947年、1948年
駒大苫小牧高(南北海道)2004年、2005年
仙台育英高が優勝すれば7校目、戦後では3校目。東北勢ではもちろん初となる。
須江航監督は、今年40歳。仙台育英高、八戸大から仙台育英高との系列校である秀光中等教育学校野球部監督を経て2018年に仙台育英高の監督に就任。コロナ禍でも選手の育成に尽力し、昨年夏の甲子園で母校を初優勝に導いた。
プロ入り一軍で出場した仙台育英OBはなんと28人
仙台育英高は1965年以降、多くのプロ野球選手を輩出している。一軍成績が残る選手だけでも28人に及ぶ。