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大阪桐蔭・西谷監督が激白する“絶対王者視される”苦悩「試合内容も知らずに…」「黙ってやっていくしかない」異常な人気…“桐蔭バブル”の今
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/08/20 11:03
大阪桐蔭を率いる西谷浩一監督がロングインタビューに応じた
岐阜出身の根尾の父親が医者だったため、西谷は患者を装って接触をはかったと噂された。また沖縄の球場でも西谷を見たという、まったく身に覚えのないスカウティング活動の噂話が次から次へと耳に入ってきた。そんな話を西谷は笑いながらしていたものだが、内心では、ほとほと嫌気がさしていたはずだ。
そして2022年以降、報道の過熱ぶりが西谷の許容量を超えてしまったのだ。取材を抑制しても、連日のように大阪桐蔭の記事がネットに上がる。これでしゃべったらどんなことになってしまうのか。答えは一つしかなかった。黙る、だ。
「大阪桐蔭=強い」揺るがぬイメージ
2022年秋、これも「大阪桐蔭ネタ」として、一つのことが話題となった。ドラフト会議において、大阪桐蔭の選手、あるいは大阪桐蔭を経て大学・社会人に進んだ選手計10名が志望届を提出したのだが、松尾以外、全員が指名漏れしたのだ。その原因は、育成力の低下と見る向きが強かった。
しかし、在校生以外の選手に関して言うならば、育成力は大学や社会人チームの方の問題だろうし、それこそ、大阪桐蔭が「獲り過ぎ」てはいないことの証左として見ることもできる。どこよりも豊富な練習をこなしているから、ドラフト指名されないような選手たちでもこれだけの結果を残しているのだ、と。
ところが、そういう論調にはならない。誤解を恐れずに言えば、世間に商品として定着している「大阪桐蔭=強過ぎる」というイメージを壊したくないのだ。
そこへ行くと、あの夏、等身大の大阪桐蔭を正確に把握していたのは下関国際だけだったのかもしれない。だからこそ、警戒こそすれ、怯むことはなかった。
〈つづく〉
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