メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
今季の大谷翔平は何が違う? パワーだけではない、進化した“読み”の正確性「今年の大谷はセオリーを逆手にとって、狙い澄ましている」
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byNanae Suzuki
posted2023/06/19 11:03
レンジャーズとの4連戦から本塁打量産体制に入りつつある大谷。本塁打王を争った2021年よりもハイペースで“仕留めている”要因を探った
この打席の大谷は、おそらく打球方向は意識していない。確かに最高の結果を残したとはいえ、仮にミスショットすれば走者は進まず、一般的な球界の常識ではセオリー無視と指摘されても不思議ではない。ただ、今年の大谷は、むしろセオリーを逆手に取り、狙い澄ましているかのようにも映る。そこには、実績を積み重ね、周囲からの信頼を得たこともあり、必ずしもセオリーにとらわれる必要はないという、メンタリティーの変化も見え隠れする。
パワーだけではない、心身両面での「進化」
開幕から2カ月が経過した6月に、一気に本塁打量産態勢に入ったのも、おそらく偶然ではない。各球団の今季の新しいデータのサンプル数が増え始め、さらに自身のコンデションも安定して来る時期。心身ともに「ゾーン」に入った結果、地区首位レンジャーズとの4連戦で4本塁打と連発し、初キングへの足場を固めた。
「4月、5月、良い悪いはあると思いますけど、打撃の悪いところの改善とかは(日程が)進んでいった方が、打席での慣れを含めて良くなるとは思います。オールスター前、大事なところではあるので、まだまだ上げて行けるように頑張りたいと思います」
3月のWBCで投打ともに出力を最高値まで上げた今季。公式戦への影響を不安視する声も聞かれた。だが、今の大谷は、自らのパフォーマンスが上がれば上がるほど、チームの勝利が近付くことを、強く認識しているに違いない。
スポーツ界で重要視される「心技体」の一致。
今季の大谷は、投打両面でどこまでハードルを上げるのか。
目に見える「変化」は可能でも、心身両面での「進化」は、誰もが簡単にできることではない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。