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〈U-22代表〉欧州8連戦の最終戦「ビルドアップが一番うまい」オランダに0-0も「正直勝てた」…パリ五輪への課題とは?
posted2023/06/16 06:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Soccrates Images/Getty Images
試合中に漂わせていた険しい雰囲気はすっかり薄れ、柔らかな笑みをたたえながら大岩剛監督が終わったばかりのゲームを振り返った。
「なんとか勝ち切りたかった、というのが率直な気持ちですね」
2-0と勝利した4日前のU-21イングランド戦(23歳以下のチーム)に続く欧州遠征第2戦、6月14日のU-21オランダ戦はスコアレスドローに終わった。
「正直、勝てた試合だったな、という感触が」
大岩監督が残念がるのも当然だろう。
決定機の数は日本のほうが多いくらいで、前半に迎えた2度の好機を藤尾翔太(FC町田ゼルビア)が仕留めていれば、ゲーム終盤に迎えた2度のビッグチャンスを松村優太(鹿島アントラーズ)がモノにしていれば……。
キャプテンマークを託された山本理仁(ガンバ大阪)も「正直、勝てた試合だったな、という感触があります」との感想を口にした。
もちろんそれは、日本のチーム力がオランダよりも上だったという意味ではない。
日本が73分までメンバー交代をしなかったのに対し、オランダはハーフタイムに9人を入れ替え、目前に迫ったU-21欧州選手権に向けた調整の趣を強めていた。それでも全般的にボールを支配しながら、自分たちのやりたいことをやっていたのはオランダだった。
そんな展開において、日本は守備面において手応えを掴み、攻撃面において課題を残すことになった。
ボール非保持は4-4-2だが、ボール保持時は3-2-5のようになるオランダは、4-4-2で守る日本の布陣の隙間を突きながら、ボールを軽快に動かしてきた。
ビルドアップをめぐる駆け引きとは
U-22日本代表は昨年9月以降、スイス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、ベルギー、そして今回のイングランド、オランダと欧州遠征を重ねている。その中でもビルドアップが最も洗練されているのは、オランダだったと鈴木海音(ジュビロ磐田)が証言する。
「後ろからのビルドアップはすごく整理されていると感じましたし、3人目を使ってくる動きだったり、ワンタッチではたいてマークを剥がすのは(8チームの中で)一番うまかった」
とりわけ厄介だったのが相手の10番、アヤックスに所属するケネト・テイラーで、右センターバックの鈴木海と右サイドバックの内野貴史(デュッセルドルフ)、右インサイドハーフの山本の中間にポジションを取り、日本の守備陣を惑わしてきた。