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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「学校生活もろくにできないやつが、サッカーうまくなるわけない」岡崎慎司らを輩出、“滝川第二の名伯楽”黒田和生のブレない「人間性=サッカー」論
posted2023/06/04 11:04
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
AFLO
優れた育成指導者とはどんな人のことを言うのだろうか?
チームを全国大会に導く部活動の指導者だろうか? プロ選手を輩出するクラブチームの指導者だろうか? という議論は今も盛んだ。
育成指導者とはどうあるべきだろうか?
いろんな考え方があるのは承知のうえで、一つの指針として現在堂安律がプレーするSCフライブルク監督クリスティアン・シュトライヒの言葉を紹介したい。443試合の指揮をとり、いまやドイツ最優秀監督の一人に数えられるシュトライヒ。彼がまだSCフライブルクのU19監督だった12年前に、「指導者とは、特に育成指導者とはどうあるべきだろうか?」というディスカッションをさせてもらったことがある。そのとき、筆者にこう考えを明かしてくれた。
シュトライヒ「指導者には《成長の伴走者》としての資質が非常に大切だ。育成年代の指導者には絶対に欠かせない。上に立ったつもりで自分の存在を勘違いして、ああだこうだと教えたつもりでいる指導者がまだまだ多すぎる。
人間関係には確かな信頼関係が必要だ。自分の頑張りを認めてもらえるという安心感やミスをしても受け止めてもらえるという信頼感があると、選手はやるべきこととまっすぐ向き合うことができる。自分と厳しく向き合い苦難を乗り越えた先で確かな成長を実感できたら、それは大きな自信になる。
だからといって何もかもを認めるのはやりすぎだ。甘やかすのは違う。間違ったことをした時に厳しく真摯にいさめてくれる存在は若手選手にとって極めて重要で、そこから学ぶことが大切だ」
筆者が思い浮かんだ滝川第二の、あの監督
これは世界中どこでも共通する、とても大切な視点ではないだろうか。相手が小さな子どもであっても、学生であっても、子ども扱いせずに1人の人間としてリスペクトをもって接する。それぞれの存在に敬意を持つ。そして共に歩み、共に成長する。それが大事なのだ。