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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「学校生活もろくにできないやつが、サッカーうまくなるわけない」岡崎慎司らを輩出、“滝川第二の名伯楽”黒田和生のブレない「人間性=サッカー」論
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byAFLO
posted2023/06/04 11:04
世界で活躍する指導者にも相通じる滝川第二元監督・黒田和生の教育哲学を、本人と教え子の証言で読み解く。
滝川第二高校サッカー部のトレーニングはやわなものではない。何度も全国大会に出場しているサッカー部だ。ハードなのは間違いない。相当な厳しさもある。それでも退部率が非常に低いというのが特徴だろう。黒田はたとえ試合に出ていない選手に対しても、気配りを大事にしていた。選手を残す人なのだ。教え子はみんなそんな黒田の背中を見ている。
指導者はサッカー選手を支えるサポーターや
滝川第二高校出身で初めての同校監督となった松岡徹が次のように思い出を口にしていた。松岡は黒田の下で滝川第二高校サッカー部コーチを長年務めた後、黒田の後任の栫裕保体制で全国高校サッカー選手権初制覇を経験している。
松岡「あれは台湾で活動されていたころ(2012年からチャイニーズ・タイペイU-13・18代表の監督に)ですから、もう60歳を超えてました。黒田先生が『もっと早くから、子どもたち、選手たちのいいところをみてあげられればよかったなぁ』とおっしゃっていたんです。『いや、先生はほんとにすごく僕らを見ている人なのに、それでもそう感じて、さらに成長しようとされているんだな』ということにすごさを感じました」
黒田本人は指導者の役割についてこう語っている。
黒田「指導者はサッカー選手を支えるサポーターや。主役は選手。支えるのが私たちの役目」
まさにシュトライヒが言っていた《成長の伴走者》。選手を成長へ導くために何ができるかを考え続けること。指導に携わる人ならば誰もが、忘れてはならない大切な教えではないだろうか。
<後編につづく>