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プロ野球スカウト「今年のドラフトはスゴいことになる」「ドラ1候補が35人くらいいます」1989年や1996年を思い出す…史上最高のドラフトになるか? 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/06/03 11:00

プロ野球スカウト「今年のドラフトはスゴいことになる」「ドラ1候補が35人くらいいます」1989年や1996年を思い出す…史上最高のドラフトになるか?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今秋のドラフト有力候補、花巻東高の佐々木麟太郎(内野手・184cm113kg・右投左打)

 1年時から話題になっている佐々木麟太郎(内野手・花巻東)が昨秋時点で高校通算106本塁打をマークして、「高校生野手」の先頭を走っているのは間違いない。ならば前田投手に次ぐ1位候補なのでは……となりそうだが、今年は、いつもの年とちょっと事情が違う。

「大学生投手」に、驚くほどたくさんの人材が台頭しているのだ。

 その数、私のニラミで、およそ25人。そこに社会人から数人と前田悠伍が入って、およそ30人。これだけの投手たちが「上位指名」に値するとすれば、ウエーバー順の早い球団……つまりペナントレースを下位で終えた球団は「確かな投手」を3人指名できるということになる。

 今年のような人材豊富な年に上位候補に挙げられるぐらいだから、皆、それなりに抜きん出た素質の持ち主たちである。その「3人」が数年後に10勝ずつしたら……いや、5勝ずつしただけだって、チーム成績には15勝が乗っかってくることになる。

 確かに「皮算用」ではあるが、ドラフトとは、つまりは皮算用なのである。これぐらいのことは、関係者なら誰でもそろばん勘定するはず。そうなってくると、例年以上に「大学生・社会人投手」に各球団が殺到して、高校生の、それも野手については「投手獲得がひと段落してから……」となって、指名順が3位後半から4位あたり……ということも予想される。

 一方で「大学生・社会人野手」も、投手ほど多くないが、近い将来、チーム打線の中枢を担っていてもぜんぜんおかしくない逸材たちが、この春も才能の片鱗を見せている。各球団とも、快腕・剛腕に目が行きがちになる中で「打てる野手を!」「走れる野手を!」……そんな現場の要請に応えるべく、数少ない野手の評価にも忙しくなる。

まず「2016年」を思い出した

 春の時点で上位候補が30人ほど……そんな人材豊富なドラフトが、これまであったろうか。

 1965年(昭和40年)からスタートしたドラフト制度。指名の方法論はいくたびか変わったが、私の記憶の中にある1978年以降のドラフトを1年ずつ振り返ってみた。

 近いところでは、「2016年」か。1位指名に、田中正義(投手・創価大→ソフトバンク)、山岡泰輔(投手・東京ガス→オリックス)、柳裕也(投手・明治大→中日)、佐々木千隼(投手・桜美林大→千葉ロッテ)、濱口遥大(投手・神奈川大→横浜DeNA)、今井達也(投手・作新学院→西武)、堀瑞輝(投手・広島新庄→日本ハム)の快腕・剛腕たち。大山悠輔(内野手・白鴎大→阪神)、吉川尚輝(内野手・中京学院大→巨人)もいて、2位指名には、黒木優太(投手・立正大→オリックス)と京田陽太(内野手・日本大→中日)がいた。

 さらに、3位指名で源田壮亮(内野手・トヨタ自動車→西武)、4位指名には山本由伸(投手・都城高→オリックス)までがいた年だ。

「1996年」と「1989年」のドラフト

 私の記憶をもっとさかのぼっていくと、「1996年」に行き当たる。

【次ページ】 「1996年」と「1989年」のドラフト

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