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プロ野球スカウト「今年のドラフトはスゴいことになる」「ドラ1候補が35人くらいいます」1989年や1996年を思い出す…史上最高のドラフトになるか?
posted2023/06/03 11:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
“流しのブルペンキャッチャー”として全国各地、数多くのアマチュア選手を取材してきた筆者。
「2023年のドラフトはスゴいことになる予感がします」。昨年の暮れ、プロ野球スカウトたちからそんな話を聞く。
#1では過去の“神回”を振り返りながら、「ドラ1候補が35人くらいいる」という今年のドラフトを展望する。【全4回の1回目/#2、#3、#4では“ドラ1”候補30人を紹介していく】
「2023年のドラフトはスゴいことになる予感がします」。昨年の暮れ、プロ野球スカウトたちからそんな話を聞く。
#1では過去の“神回”を振り返りながら、「ドラ1候補が35人くらいいる」という今年のドラフトを展望する。【全4回の1回目/#2、#3、#4では“ドラ1”候補30人を紹介していく】
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35人ぐらいの“ドラ1”候補
「次のドラフトって、上位(2位まで)候補が30人ぐらいいませんか?」
「えっ、ちょっと待ってください……いや、35人ぐらいいますね。この中の誰が“1位候補”になってもおかしくない。なんか、すごいことになりそうな予感がしますね」
スカウトの方たちと、そんな話をしたのが、昨年暮れの松山・坊っちゃんスタジアム。
昨年の秋までは、時期的にまだ“切実な”ドラフト候補ではなかったので、スカウトの視線も選手たちの「長所」にばかり注がれていた。しかし、年度が変わり、今年の候補として実戦での選手たちを繰り返し視察していく中で、今度は「欠点や課題」が見えてくる番だ。
人が人を見る。その回数が増えれば増えるほど、相手のアラが見えてしまうのは、どんな「人間関係」においても共通のようである。
なので、例年だと時期が進むにつれて、候補の数は減っていくのが普通だが、今年はどうだろう……むしろ、この春のシーズン、大学生を中心に増えている印象すらある。
とはいえ、例年のように課題をあぶり出されて、この春一歩後退の選手もいくらかいるだろうから、差し引き、昨秋の「30~35人」という上位候補のざっくりとしたニラミは、「現状維持」というところか。
「大学生投手」の人材がスゴい
では、「2023ドラフト上位候補」という切り口で、今年のアマチュア球界を俯瞰してみたい。
まず「高校」は、上位候補というよりはむしろ「1位候補」の有力な存在として、前田悠伍(投手・大阪桐蔭)が君臨していて、その後を追う選手たちがやや水をあけられた印象だ。