「今思えば、箱根に対して本気でやれていなかった」神野大地のYouTube動画編集からトレイルランナーに…青学大卒・田村健人が再び走り始めた理由

大学時代、神野と行っていた“定例会”

　2020年1月、田村健人は神野大地とともにケニアの“マラソンの聖地”イテンに飛んだ。

　縁あって神野をマネジメントする会社に入社し、動画編集の仕事に携わり、合わせて神野の練習パートナーとして同行したのだ。

ケニアにて　写真は本人提供

すべての写真を見る（21枚）

「YouTubeの撮影で行ったんですが、神野さんと一緒に走ることが増えていったんです。でも、そこって標高が2400mぐらいあるんですよ。しかも大学時代から15kgも太ったせいか、神野さんはジョグなのに4kmぐらいしかついていけなくて、めちゃくちゃしんどかった」

　神野は、田村にとって青学大のひとつ上の先輩にあたる。

　大学時代から仲が良く、週1回オフの日曜日に“ミーツ”と称して神野の部屋に行き、録画しているドラマを見たりするのが当時、恒例となっていた。田村が4年時、箱根駅伝の選考レースとなる世田谷ハーフに臨む際は「ここで決めれば（箱根に）いけるから」と応援のLINEを送ってきてくれた。

「神野さんとは、気が付いたら仲良くなっていました。大学時代は怖い感じがなく、どっちかというと今の方が怖いかもしれない（笑）」

大学時代の神野と田村　写真は本人提供

最初は、優勝してやるか、みたいな感じで出たんです

　神野の練習に参加し、動画を撮影していると徐々に走れるようになってきた。そんなある日、知人に「トレイルやってみたら」と誘われた。トレイルランニングとは、簡単にいうと山道など未舗装の道などを走ること。田村は、ランニング仲間と山を走り、「楽しい」と思った。しかもスイスイと走れたことで、仲間から「適性あるよ！」と、褒めれられた。

「それで嬉しくなってしまって、2カ月後のレースにエントリーしたんです」

　勢いで嬬恋スカイランロング（21年6月・31.59km）に出場したが、山の厳しい洗礼を受けた。

【次ページ】　やるからには本気でやれよ