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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「今思えば、箱根に対して本気でやれていなかった」神野大地のYouTube動画編集からトレイルランナーに…青学大卒・田村健人が再び走り始めた理由
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/06/04 11:01
日本で開催されたトレイルランの国際大会にも優勝し、世界大会の優勝も目指す田村健人。青学大の先輩でもある神野から受けたアドバイスとは…?
「だいぶ、絞れていました。最初、みんなにトレイルが向いてるって言われてやったけど、本当に自分に向いているのか、よくわからなかったと思うんです。でも、試合に出て、上位で走れる自分が見えてきて、もう少し頑張ったら優勝できるんじゃないかっていうのが少し見え始めたところが彼のやる気を引き出したのかなと」
そこから何かに取り付かれたように田村はトレイルに全重心を傾けていった。
ここまで強く『勝ちたい』と思ったのは初めてでした
今年、ハセツネ30Kに出て、優勝を狙ったが惜しくも3位。次に狙ったのが、4月に開催されたウルトラトレイルマウントフジKAI(ULTRA-TRAIL Mt.FUJI)の「KAI」というレースだった。
「ハセツネは“ザ・トレイル”みたいなコースだったんですが、KAIは走れるコースでより自分の力を発揮できるコースだったんです。このレースは、大きなレースですし、どうしても優勝したかった。今思えば大学の時、時間がある中、箱根に対して本気でやれていなかった。でも、今は仕事をしながら練習を積み、本気で取り組んできた。だからこそ勝ちたい。ここまで強く『勝ちたい』と思ったのは初めてでした」
ウルトラトレイルマウントフジはFUJI(165.3km)とKAI(69.2km)があり、KAIは2022年に新設され、富士急ハイランドから山中湖、杓子山(標高1597m)など富士山麗を巡る国際トレイルランニングレースだ。
トレイルのレースは、マラソンのように体ひとつで走るわけではない。参加者はコースマップ、携帯電話、水、食料、点滅ライト、ホイッスルなど必携品を背負って走らなければ失格になる。KAIでは、スタートやエイドステーションを出る際、リュックの総重量が2kg以下、レース中に1kg以下になってはいけない等、規定されている。トレイルは自然環境や山岳を走るので、レース中の事故を防ぐために厳しいルールが設けられているのだ。
見守り続けてくれた両親への思い
このレースで、田村は6時間45分15秒の大会記録で2位に3分08秒の差をつけて優勝し、ニューヒーロー賞も獲得した。仲間や田村がコーチを務める「RETO RUNNING CLUB」のメンバーから祝福され、神野からは「おめでとう」と声をかけられた。両親にも報告した。