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JリーグPRESSBACK NUMBER
JFAのS級コーチ講習会に密着…サッカー界の未来を担う指導者たちは何を学んでいるのか?「議論が白熱して指導実践が長引くことも日常的」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJFA
posted2023/05/25 11:03
S級コーチ養成講習会で選手役の大学生たちを相手に指導実践を行う中村憲剛さん。受講生のひとりとして、日々多くの学びを得ているという
決して「受け身」の学びではなく…
講習会の指導実践では4人がグループになり、「監督、コーチ、GKコーチ、フィジカルコーチ」の立場を担う。テーマごとに立場を変え、4人全員がそれぞれの役割を担っていく。
トレーニングのテーマは「5-4-1で守備を固めてくる相手を、4-3-3で崩す」、「4-3-3の相手に対して、4-4-2でどう守るか」といったように、具体的で実戦的だ。さらには「週末に試合を控えた木曜日の練習」という設定で、ふたつのトレーニングとゲームを45分間で組み立てる。
ライセンスの講習には、決められたカリキュラムを学び、試験をパスして資格を取得するといった印象がつきまとう。しかし、現在は参加者が能動的に考え、座学や指導実践に取り組むアクティブラーニングが取り入れられている。
受講生は第1回講習の最初に、「監督に必要な職務能力」について5段階で自己評価をしている。JFAのS級ライセンス担当チューターの浮嶋敏氏が説明する。
「自分の強みや足りないものを事前に認識したうえで、他の人の意見を聞きながら、自分に合うか合わないか検討をして、自分の視野だけじゃないものを取り入れていく。そのために、アクティブラーニングを積極的に取り入れています」
浮嶋氏自身は、2013年度にS級コーチ養成講習会を受講した。湘南ベルマーレで長く指導にあたり、2019年10月から2021年8月まではトップチームの監督を務めた。
「講義も座って聞いているだけのものは基本的にありません。必ずグループワークがあり、全員が発言する機会があります。講師や私たちチューターが一方的に話したりするのではなく、他の人の意見が聞けるようにして、自分なりの解決方法を見つけていってもらいます」
ひとつのグループが指導実践を終えたら、チューターと参加者が意見を出し合う。レビューと呼ばれるこのやり取りが、参加者たちの学習意欲を旺盛にしている。