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WBC日本投手陣はなぜメジャーの打者を圧倒できたのか? 武器となった“150km超と縦変化”…ダルビッシュ「(2009年とは)投げる球も全然違う」 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byNaoya Sanuki

posted2023/04/01 17:00

WBC日本投手陣はなぜメジャーの打者を圧倒できたのか? 武器となった“150km超と縦変化”…ダルビッシュ「(2009年とは)投げる球も全然違う」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

決勝のアメリカ戦、2番手で登板した戸郷翔征。メジャーの一流バッターも日本投手陣を1巡目でとらえることができなかった

 公式戦の登板前には、相手打線を細かく分析し、カウントごとに各打者への配球を想定するなど、入念な準備を進めるのが「ダルビッシュ流」。吉井投手コーチが、大会後、「ダルビッシュがすごく手伝ってくれた」と感謝したように、チーム最年長右腕の助言を受けた若い投手達は、迷うことなく、腕を振って自信のある球を投げ込み、好投につなげた。

 09年優勝メンバーでもあるダルビッシュ自身も、久しぶりに接した日本野球の成長を肌で感じた。「当時もすばらしいチームでした」と振り返ったうえで、さらに続けた。

「投手が投げる球も全然違いますし、野手の打球を見ても全然違う。当時とは、まったくレベルが変わっていると思います」

過去には技巧派が重要とされる時期も

 選手個々の力量だけではない。侍ジャパン首脳陣が決断した細かい継投も、世界一への分岐点のひとつだった。準決勝のメキシコ戦では、先発した佐々木朗希が3回まで無失点に封じたものの、4回に3ランを喫した。2番手で救援した山本由伸も3イニングは無安打と危なげなかったが、4イニング目の8回に3連打を浴びた。2人とも完投能力を持つとはいえ、春先の段階でもあり、多くの球数をこなしておらず、本来のスタミナは戻っていない。相手打線が2巡目に対応してきたのも、偶然ではなく、継投のタイミングが決勝でのポイントになるのは明らかだった。

 実際、米国相手の決勝で、先発した今永は2回まで打者10人に投げて交代した。2番手の戸郷も、2回、打者8人でマウンドを譲り、その後は、9回の大谷まで5投手が各1イニングずつを投げ、1点差で逃げ切った。2番手以降が同じ打者と1回しか対戦しない継投で、傷口を最小限に食い止めた。

 かつて、国際大会では右のアンダースローや技巧派左腕などが重要とされる時期もあった。だが、今大会では本格派の投手が「力勝負」でも勝てることを実証した。

 世界トップレベルの投手力を軸に、失点を最小限に食い止めて競り勝つ野球。

 無傷の7連勝で頂点に立った侍ジャパンの戦いに、日本野球の「理想型」が凝縮されていた。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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