侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
WBCで“大谷を救った男”伊藤大海はなぜピンチに強い? 語っていた「本当に孤独なのはバッター」「ダルさんみたいになりたくて、髪の毛を…」
posted2023/04/01 11:02
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
AFLO
栗山英樹監督をはじめ、ダルビッシュ有、大谷翔平、近藤健介と北海道日本ハムファイターズのOBたちが存在感を示したWBC。だが、唯一の現所属選手も優勝に大きく貢献した。中継ぎとして3試合(計2回1/3) に登板し、無失点と好投した伊藤大海だ。
大谷翔平が招いたピンチをきっちり消火
イタリアとの準々決勝では、先発の大谷が5回に2失点。さらに二死一・三塁というピンチで急遽マウンドに上がったが、堂々としたピッチングで後続を抑え、その後の打線の爆発を呼び込んだ。
伊藤は侍ジャパンのブルペンに欠かせない存在だ。
投手陣は金メダルに輝いた1年半前の東京五輪から大きく若返り、五輪とWBCに連続出場した投手は、途中離脱した栗林良吏も含めて伊藤と山本由伸の3人しかいない。首脳陣が変わっても選ばれ続けるという事実が、信頼度の高さを物語る。
好救援、追いロジン…マウンドで堂々としている理由は…
ちなみに東京五輪でも、彼は3試合(計5回)に登板して無失点。韓国との準決勝で、相手からの抗議も意に介さず投じた “追いロジン”の一球は語り草となった。
国際舞台で無類の強さを見せる伊藤。筆者は五輪後、彼にインタビューを行なったが、いま振り返っても味わい深いコメントが残されている。
「五輪を経験して思うようになったんですけど」。そういって、金メダリストになったばかりの伊藤は次のようにしゃべり出した。
「ピッチャーはよく孤独だと言われるじゃないですか。でもほんとうに孤独なのは、実はバッターじゃないかと思うようになりました。ピッチャーは背後に7人の野手が守ってくれていて、目の前にはキャッチャーが構えている。仲間に囲まれたぼくらに比べると、バッターはひとり。多くてもランナーを加えた最大4人でしか攻撃できないですからね」
ですから、と伊藤は続ける。