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メッシ愛妻の両親経営スーパーに銃弾14発!「W杯オウンゴール射殺事件」「数千万円の強盗」…“南米の凶悪事件”に名手が狙われた真相
 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2023/03/13 17:00

メッシ愛妻の両親経営スーパーに銃弾14発!「W杯オウンゴール射殺事件」「数千万円の強盗」…“南米の凶悪事件”に名手が狙われた真相<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

カタールW杯優勝後のメッシファミリー。妻アントネーラさんの両親が経営するスーパーマーケットに銃弾が撃ち込まれるとは……。

 最大級の被害を蒙ったのが、元ブラジル代表GKエメルソン・レオン(73)だろう。

 1967年から1987年までパルメイラスなどで活躍した名選手で、ブラジル代表の一員として1970年からW杯に4大会連続で出場。1970年大会は控えだったが、優勝を遂げている。現役引退後は指導者となり、パルメイラス、ブラジル代表などを指揮。日本でも1990年代から2000年代にかけて清水エスパルス、ヴェルディ川崎、ヴィッセル神戸の監督を務めた。

 サンパウロの高級住宅地に豪邸を構えているが、昨年11月、旅行で留守だったときに数人の強盗に押し入られ、室内を散々に荒らされた挙句、現金、貴金属、1970年W杯の優勝メダルやトロフィーのレプリカなどの記念の品をごっそり盗まれた。被害総額は数千万円を超えたと報じられた。

 選手としても監督としても百戦錬磨だったレオンは、「50年を超えるキャリアで営々と蓄えてきた金品を根こそぎ奪われた」と呆然としていた。

そもそもなぜ、中南米は治安が悪いのか

 中南米各国のすべての国、すべての町が同様に危険なのではない。田舎の小都市なら、通常は安全だ。

 しかし、中都市以上は総じて犯罪が多い。とりわけロサリオやかつてのメデジンのように麻薬売買が横行する町は麻薬密売業者間の抗争が頻発するので極めて危険だ。

 中南米の治安の悪さには、いくつかの理由がある。

 ほとんどの国に、十分な教育を受けていないため正業に就けない人が一定数いる。彼らにはできる仕事がないから、常に失業状態。自分と家族が食べていくためには、麻薬売買、強盗、詐欺などの不正行為に手を染めるしかない。貧富の差が大きく、経済的に豊かな人に嫉妬する感情も、彼らを犯罪に走らせる一因だろう。

 それゆえ、治安を改善するための最良の解決策は、国と地方自治体がもっと教育に投資して「近代産業に従事できない人」をなくすことではないかと考えている。ただし、発展途上国や中進国にはそもそも教育の重要性を理解していない人が少なくない。まず国民全体に教育の重要さをしっかりと理解させるところから始めなければならない。

 中南米出身の有名選手は巨額の資産を保有していることが世間に知られているため、各種犯罪の犠牲者となる恐れが常にある。

 中南米では、選手として大きな成功を収めても、本人も家族も決して安閑としてはいられない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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