野球クロスロードBACK NUMBER
「首脳陣は起用法を断言できない」WBCのなぜ? 西岡剛が語る“現実的に”勝つ方法「メジャー選手には大きなお金が…」「優勝は至難の業」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/03/06 11:02
過去の代表選手たちが語る「王座奪還への提言」とは? 西岡剛(福岡北九州フェニックス監督)に聞いた
「もちろん、もちろん、そこは必要です。僕が言いたいのは、あんまり日の丸、日の丸って雰囲気を作り過ぎてしまうと、若い選手が萎縮してしまうのが怖いんです。ジャパンのユニフォームを着ればね、年齢関係なく誰だってそこは大事に思ってるんです。第1回で言えば、宮本さんとかアテネオリンピックを経験されている先輩もいたんで、すごく日の丸の重みを痛感していたと思うんです。でも、初めてジャパンに入る若い選手からすれば、『純粋に試合を楽しみたいんだから、あんまり言わんといてください』ってなってもおかしくないというか。僕がそうでしたから。『個人の成績をしっかり出せば、それが日の丸のためになるよな』って。そういう方向にもっていったほうが、短期決戦の国際大会ではいい結果に繋がると思うんですよ」
バレンタイン監督から教わったこと
――一理あると思います。代表を経験された選手のなかには、「日の丸の重みを感じたからって、パフォーマンスが上がるわけではない」と言っていた人もいます。
「日本って規律だったり、そういうところが文化として根付いていますけど、北中米の選手って野球をエンジョイしてるじゃないですか。でもね、彼らだって本質は勝つため、お金を稼ぐために必死なんです。僕の場合、所属してたロッテの監督がボビー・バレンタインに代わってそういうことを教わったんで、価値観が変わりましたよね。『好きで始めた野球なんだから、楽しんでやったほうが絶対にいい結果が出る』って」
――実際に西岡さんは、第1回WBCでは打率3割5分5厘、5盗塁と持ち味を発揮して、世界一に貢献しました。つまり、「個の集合体こそが、ジャパンのあるべき姿である」と。
「個を出したからってチームがまとまらないわけではないですよ。だって、もともとジャパンってそういう集団じゃないですか。誰だって三振したくて打席に立ってるわけじゃないし、個人が成績を残せば勝つ確率は絶対に高くなるわけですよ」
僕はあんまりサイン出なかったですね
――第1回大会は、バントなどの小技や盗塁といった機動力を駆使した「スモール・ベースボール」が話題となりました。今大会も、チームプレーとしての「個」を大事にするべき、ということですか?
「スモール・ベースボールみたいな戦いって、あんまりしてなかったですよ。送りバントだって多くなかったし」
――8試合で9個。確かに多くありません。