野球クロスロードBACK NUMBER
「首脳陣は起用法を断言できない」WBCのなぜ? 西岡剛が語る“現実的に”勝つ方法「メジャー選手には大きなお金が…」「優勝は至難の業」
posted2023/03/06 11:02
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Shigeki Yamamoto
これまで4回開催されてきたWBC。過去の代表選手たちが語る「王座奪還への提言」とは? 西岡剛(北九州下関フェニックス監督)に聞いた。(全2回の#2/#1へ)
――第5回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表は「歴代最強」と呼ばれています。パドレスのダルビッシュ有選手やエンゼルスの大谷翔平選手などのメジャーリーグ組に、史上最年少で三冠王となったヤクルトの村上宗隆選手、2年連続で沢村賞を獲得したオリックスの山本由伸選手と、顔触れが豪華です。
「確かにそうですけど、前と比べるもんではないと思うんですよ。今回はメジャーリーグの選手が5人(ダルビッシュ、大谷、鈴木誠也、吉田正尚、ラーズ・ヌートバー)ですか。僕が出た第1回はイチローさんと大塚(晶則)さんだけでしたけど、最終的に12人がメジャーに行ったくらいレベルの高い選手が揃っていたんで(松坂大輔、上原浩治、薮田安彦、和田毅、藤川球児、岩村明憲、西岡剛、川崎宗則、福留孝介、青木宣親。黒田博樹は大会前の負傷で出場辞退。小林宏之はマイナー契約)。僕はそこより、代表は若いほうがいいと思ってて。そういう部分では、今回はいいんじゃないですか」
「若い選手を萎縮させない」方法
――代表メンバーの平均年齢は27.3歳(初選出時点)と歴代で最も若いです(第1回29.2歳、第2回28.7歳、第3回30歳、第4回28.5歳)。西岡さんも第1回に出場した時は21歳でした。
「もし、僕が30代でWBCに出ていたらすごくビビってたでしょうね。イチローさんのあとの2番を打っていたこともそうだし、『日本のために』って思ったり。いろんな経験を積んでいるからこそ芽生える恐怖心って絶対あるんです。『負けたら、結果出せなかったら叩かれる』みたいなね。誰でもWBCの舞台に立てば、頭も体も硬くなるに決まってるんです。だったら、経験も実績も発展途上の若い選手のほうが、怖いもの知らずでいける部分ってあると思うんですよ。第1回の僕とかムネさん(川崎)がそうでしたからね」
――とはいっても、第1回ではキャプテンの宮本慎也選手をはじめ、リザーブだった30代の選手が献身的にサポートしてくれたことも優勝の背景にあると言われています。若返りもいいですが、やはり、彼らのような精神的支柱は必要ではないでしょうか。