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藤井聡太「六冠誕生」を「10連覇中の勝率.750」渡辺明棋王が阻むか…棋王戦の敗者復活戦は「名物記者と柔道」がきっかけ?

posted2023/02/14 17:00

 
藤井聡太「六冠誕生」を「10連覇中の勝率.750」渡辺明棋王が阻むか…棋王戦の敗者復活戦は「名物記者と柔道」がきっかけ?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

棋王戦第1局は藤井聡太竜王が勝利し、一歩リードを取った(代表撮影)

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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 渡辺明棋王(38=名人と合わせて二冠)に藤井聡太五冠(20=竜王・王位・叡王・王将・棋聖)が挑戦している、第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負。渡辺が11期連続で棋王を獲得するか、羽生善治九段との王将戦を並行して戦っている藤井が六冠のタイトルを取得するか、という大勝負である。

 両者の棋王戦での実績、両者が対戦したタイトル戦、棋王戦第1局の戦い、敗者復活戦の方式がある棋王戦の成り立ちなどについて、田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書は当時】

過去10期、渡辺棋王の勝率は「.750」という強さ

 2012年度の第38期棋王戦で挑戦者の渡辺明竜王は、郷田真隆棋王を3勝1敗で破り、棋王のタイトルを初めて獲得した。

 渡辺棋王はそれ以来、第40期に羽生善治名人に3連勝、第41期に佐藤天彦八段に3勝1敗、第44期に広瀬章人竜王に3勝1敗、第47期に永瀬拓矢王座に3勝1敗など、棋王戦でタイトル保持者らの挑戦を下して10連覇している。

 渡辺は過去10期の棋王戦で通算成績は30勝10敗(勝率は7割5分)。最終の第5局までいったのは2回、カド番に追い込まれたのは1局だけだった。このように寒い季節に行われる棋王戦で抜群に強いので、「冬将軍」という異名がついている。

 渡辺は棋王戦10連覇について、次のように語った。

「中原(誠十六世名人)先生が実現できなかった記録を達成できたのは、自分としては価値が高いです。20代の頃は今より終盤は強かったと思いますが、終盤力が減退した分を経験で補っています」

 中原十六世名人は名人戦で1972年から9連覇した。

 渡辺も竜王戦で2004年から9連覇した。

「9」と「10」は誤差の範囲だが、2ケタは特別な意味がある。ちなみに、藤井五冠は四段時代の2017年にデビュー戦から最多連勝記録を達成したが、「29連勝」で止まった。

これまで藤井五冠は棋王戦で目立った実績はなかったが

 実は――過去5期の棋王戦で藤井五冠は目立った実績はなかった。挑戦者決定トーナメントでベスト16が最高だった。今期は久保利明九段、豊島将之九段らに勝って準決勝に進出し、佐藤天彦九段に敗れている。

 棋王戦の方式では、準決勝以降の敗者は「敗者復活戦」に進めて再起が可能である。藤井五冠は伊藤匠五段、羽生九段に勝ち、挑戦者決定二番勝負で勝者組の佐藤九段と再戦した。佐藤は1勝、藤井は2勝で挑戦権を得る。そして、藤井が佐藤に2連勝し、棋王戦で初めて挑戦者になった。

【次ページ】 佐藤天-藤井の第1局は「GKがシュートして勝った」?

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