Jをめぐる冒険BACK NUMBER
“3バック+三笘薫&伊東純也の両ワイド起用”は「隠してきたわけではない」 森保監督が明かすW杯の大胆采配が大国撃破に必要だった理由
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/01/01 14:41
これまで主戦としてきた4バックから3バックにシフトし、ベスト16入りを果たしたカタールW杯。森保監督の決断にはどんな意図があったのか
森保 YouTube(Team Cam)で話題になってしまいましたけど(笑)。あの試合で思ったのは、攻撃のスピードやダイナミックさをトレーニングでもっと上げておかなければいけなかったということ。スペイン戦でコスタリカはかなり後手に回って敗れたじゃないですか。スペインのスピードを体感したあとだったので、日本のスピードは対応しやすいと感じているんだろうなって。
――スペインより遅いな、と。
森保 分からないですよ。相手に聞いたわけではないので。ただ、コスタリカは守備がウリのチームなのに、これだけ攻撃のテンポが速くて振り回されるんだ、と感じて。テンポをもっと上げてスピード感を出さないといけないな、ということは試合中に思いました。
――コスタリカ戦でもクロアチア戦でも、攻撃の選手たちが所属クラブでは見せないようなイージーミスがありました。それはW杯ゆえでしょうか?
森保 これは本当に分からないので、感覚的に答えると、コスタリカ戦に関してはメンバーを代えた中でのコンビネーションにおいてノッキングした部分はあったと思います。あとはやっぱり、ドイツ戦の疲労もあったのかなと。ボランチやシャドーにボールが入っているのに次のプレーにうまく繋がらなかったのは、選手を入れ替えたことによるコンビネーションの問題と、疲労の両方があったんじゃないのかなと。
「ターンオーバーの正解は分からない」
――そうすると、ベスト16、ベスト8と勝ち上がっていくうえでの理想は、メンバーを大きく入れ替えてもコンビネーションが落ちないようにしていくことですか?
森保 でも、先ほども言ったように、ターンオーバーに関しては、正解が分からないです。もちろん、2試合目まで同じメンバーで戦って3試合目に代えるやり方もある。コスタリカ戦で勝ち点3をしっかり取ってグループステージ突破を確実なものにしていれば、3試合目は総入れ替えができて、フィールドプレーヤー全員を起用してあげられたかもしれない。でも、自分たちのパワーをよりフレッシュに出していくためには、特に前線の選手は2試合目で入れ替えたほうがいいと思っていました。その結果、コスタリカ戦はうまくいかなかったですけど、スペイン戦では生きたのかなと思います。ただ、クロアチアやスペインを見ると、わりと同じメンバーを使い続けているじゃないですか。
――中3日であろうと、同じメンバーでタフに戦っていましたね。
森保 だから、正解は分からないです。おそらく選手の状態を見ながら、先のことも想像して、そのときどきで考えていくしかない。ただ、代えながら戦うというのは、日本にとっては悪くないことだと思います。なぜなら、それだけ選手層が厚いと言えるし、日本サッカーの経験値にもなっていく。選手たちの誰もがスタートから出ても、途中から出ても、レギュラーだという気持ちを持って準備して戦ってくれたのがすごくありがたかったですね。それだけみんな自信があるんだと思いました。