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“3バック+三笘薫&伊東純也の両ワイド起用”は「隠してきたわけではない」 森保監督が明かすW杯の大胆采配が大国撃破に必要だった理由 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/01/01 14:41

“3バック+三笘薫&伊東純也の両ワイド起用”は「隠してきたわけではない」 森保監督が明かすW杯の大胆采配が大国撃破に必要だった理由<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

これまで主戦としてきた4バックから3バックにシフトし、ベスト16入りを果たしたカタールW杯。森保監督の決断にはどんな意図があったのか

――スペイン戦では今大会で初めて最初から3バックで戦いました。3-4-2-1をベースとしたシステムでしたが、2日前の練習では3-5-2も試していたそうですね。なぜ、3-4-2-1に切り替えたんですか?

森保 疲労を考慮して、3-5-2はゲーム形式のトレーニングでマッチアップさせながら試したわけではなかったんです。頭の中で確認しただけで。ゲーム形式でやれば、選手たちは動きながら感覚をすり合わせることができるので、うまくやれる方法もあったかなと。3-5-2で戦うということは、スペインの4-3-3に対して全面マッチアップなんです。全面マッチアップにしてアグレッシブに行く部分、いい守備からいい攻撃へと移っていく部分、リスクを負うところと負わないところなどを考えたうえで、我々が落ち着いて、攻勢になっても守勢になっても試合を主体的にコントロールして戦えるかどうか、という点を考えて、最終的に変更しました。

 あと、3-4-2-1は(サンフレッチェ)広島時代にずっとやっていたので、私の中で整理できていますし、選手たちもそれぞれの経験からいろいろと投げかけてくれた。それらを総合して判断しました。結果として3-4-2-1にしましたが、選手のコンディションを優先して試合2日前の練習では確認せず、前日に戦術確認をしていたら、おそらく変更できませんでした。最終予選を通して少ない活動時間を有効に使う経験をしてきたおかげで修正できて、試合に向けていいエネルギーになったのかなと思います。

セットプレー「練習ではずっとやっていた」

――クロアチア戦では、セットプレーにバリエーションがありました。実際に前田大然選手のゴールもショートコーナーからのクロスによって生まれたものでした。こうしたバリエーションはこれまで見せていませんでしたが、ベスト8に行くためにラウンド・オブ・16まで取っていたんですか?

森保 いや、練習ではずっとやっていたんですよ。相手が対策してきたりとか、配置とかの問題で、これまではやらなかっただけだと思います。そこは選手の判断にもよりますから。

――では、別に隠していたわけではなく?

森保 選手たちは隠していたつもりはなかったと思います。あのパターンは練習でもけっこうやっていましたから。やり続けた結果として、あの舞台で出たんだと思います。

――クロアチア戦は交代カードを1枚残したまま120分を戦い終えました。後半途中から町野修斗選手が今にも出場しそうな勢いでアップをしていましたが、最後のカードを切らなかったのは、ピッチ上に遠藤航選手、酒井宏樹選手、冨安健洋選手と、怪我を抱えている選手がいたからですか?

森保 そうですね。冨安も少し気にする素振りをしていたので、最後までもつかなという心配は正直ありました。でも、追う展開になったら必ず入れようと思っていました。もし町野を入れるとしたら、(2トップなど)形が変わることになるので、そこをどうしようかとも考えていましたね。

(つづく)

#3に続く
「クロップさんは何を?」選手から学んだ“世界の日常”…森保一はなぜ自らを“監督係”と呼ぶのか「決断と責任を取ること、あとは営業ですね」

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