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「クロップさんは何を?」選手から学んだ“世界の日常”…森保一はなぜ自らを“監督係”と呼ぶのか「決断と責任を取ること、あとは営業ですね」

posted2023/01/01 14:42

 
「クロップさんは何を?」選手から学んだ“世界の日常”…森保一はなぜ自らを“監督係”と呼ぶのか「決断と責任を取ること、あとは営業ですね」<Number Web> photograph by Walnix

4年半の戦いを振り返った森保一監督。日本サッカーでは初めての長期政権となる2026年W杯までの続投が決まった

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Walnix

先日、2026年W杯までの“続投”を発表したサッカー日本代表・森保一監督(54歳)。東京五輪代表チームの立ち上げから5年、その戦いぶりを現地取材してきたスポーツライター飯尾篤史氏が、多くの批判を受けながらも信念を貫いてきた勝負師の本音に迫った(全3回の3回目/#1#2へ)※インタビューは2022年12月28日の続投会見の前に行ったものです。

――改めて、日本代表が次のステージに行くために必要なことは何だと思われますか?

森保一(以下、森保/敬称略) ボールを奪ったあとのプレスの回避という部分で、もっとボールを握れるようにしないといけないですし、粘り強く戦えたことは良かったですが、自分たちが試合をもっとコントロールできるようにならないといけない。守備においても、ドイツ戦の後半のように自分たちからアクションを起こしてボールを奪いにいくクオリティをもっと上げなければいけない。

 あと、一番は個の強さを上げるところだと思います。大会が終わってから、選手たちには「チャンピオンズリーグで優勝を狙えるチームで、ひとりでも多くの日本人選手がプレーするようになることが日本代表の強化に繋がる」という話をしました。選手個々のクオリティをよりアップさせないといけないと思います。逆に、飯尾さんが見てきて感じたことはありますか?

――感じたことですか……W杯で最も印象に残っているのは、スペイン戦の前半、守り方を変えた場面です。日本は5-4-1で守備ブロックを組んでいましたがうまくハマらず、ガビやペドリにボールが入って何度もチャンスを作られていた。すると30分過ぎ、3バックの板倉滉選手、谷口彰悟選手が中盤まで潰しに行くようになり、守田英正選手がブスケッツに、田中碧選手がセンターバックにプレッシャーを掛けて流れを好転させた。あれはピッチ内での判断ですよね?

森保 選手たちがピッチ内で見事に修正してくれました。

「主体性という言葉がひとり歩きするのは危険」

――森保さんは18年7月の就任会見で「対応力をもって戦う。臨機応変に、状況に応じて勝つために、流れを掴むことを選手が判断して選択できるサッカーをしていきたい」とおっしゃっていて。

森保 はい、言いましたね。

――その後、18年10月にインタビューをさせていただいたとき、ベルギー戦の話になって。「あのときDFを投入して5バックで守ることを、西野(朗)監督に提案できなかったと悔やんでいます。でも、ああいう場面で、選手たちがピッチ上で問題を解決できるようにならなければ、もっと先(ベスト8、ベスト4)には進めないだろうな、とも思いました」という言葉が印象的でした。主体性、臨機応変さ、対応力を身に付けた代表チームを目指しているんだろうなと思いながら取材をしてきたので、そういった代表チームになったなと。

森保 主体性、臨機応変さ、対応力というのは絶対に必要だと思っていました。ただ、主体性という言葉がひとり歩きするのも危険だと思います。選手たちが主体性や臨機応変さを発揮できるのもベースがあってこそ。ゼロの状態で「対応力を発揮してくれ」と言っても、選手たちのイメージはバラバラなので。それはこの4年間、特に最終予選から、我々もすごく感じさせられたというか。自チームのコンセプトと相手との噛み合わせの中でのベースを伝えたうえで、チームとしてどう戦っていくか。そのベースがあるからこそ、選手たちも自主性や臨機応変さを出せる。だから、メディアの方々も発信するときには、そのことを忘れないでほしいなと思います。

【次ページ】 選手からの要望「この試合のベースをください」

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