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“3バック+三笘薫&伊東純也の両ワイド起用”は「隠してきたわけではない」 森保監督が明かすW杯の大胆采配が大国撃破に必要だった理由

posted2023/01/01 14:41

 
“3バック+三笘薫&伊東純也の両ワイド起用”は「隠してきたわけではない」 森保監督が明かすW杯の大胆采配が大国撃破に必要だった理由<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

これまで主戦としてきた4バックから3バックにシフトし、ベスト16入りを果たしたカタールW杯。森保監督の決断にはどんな意図があったのか

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Kiichi Matsumoto

先日、2026年W杯までの“続投”を発表したサッカー日本代表・森保一監督(54歳)。東京五輪代表チームの立ち上げから5年、その戦いぶりを現地取材してきたスポーツライター飯尾篤史氏が、多くの批判を受けながらも信念を貫いてきた勝負師の本音に迫った(全3回の2回目/#1#3へ)※インタビューは2022年12月28日の続投会見の前に行ったものです。

――ドイツ戦では後半から3バックに変更し、その後、3バックは主戦システムになっていきました。森保さんは「3バックはいつでもできる」とおっしゃっていましたが、この4年半でスタートから3バックで戦ったのは、19年の6月の……。

森保一(以下、森保/敬称略) トリニダード・トバゴ戦とエルサルバドル戦、あと20年11月のパナマ戦ですよね。

――当時、それほど機能したようには見えませんでした。あとは20年10月のカメルーン戦で後半からやったり、9月シリーズやW杯直前のカナダ戦で試合終盤にやっただけ。だから、オプションにはなり得ても、主戦システムになるとは思えませんでした。それなのに、W杯では3-2-5のような形で前からプレスをかけたり、後ろからビルドアップしたり。あるいは、状況に応じて5-4-1にしてブロックを組んだり。なぜ、機能したのでしょうか。

森保 それはいい選手がいたからだと思います(笑)。あとはコーチ陣がミーティングの資料を選手たちに分かりやすいように作ってくれて、それを練習で確認したりして、選手たちが同じ絵を描いて試合に臨めたのが大きいと思います。映像だったり、アニメーションだったり、トレーニング内容だったり、伝えるクオリティの部分ですね。やるべきことが選手たちにクリアに伝わっていたので、そこはコーチ陣の努力の賜だと思います。そのうえで選手たちはすごくいい判断をして、ピッチ内で絵を合わせてプレーしてくれました。3バックで幅を取ることは攻撃でも守備でも生きると。守備では大きく揺さぶられることなく対応でき、攻撃ではサイドの選手が起点になれるというメリットを感じながら選手たちはプレーしていたんじゃないかなと思います。

超攻撃的シフト「隠してきたわけではない」

――ドイツ戦の後半30分以降は、伊東純也選手、三笘薫選手が両ウイングバックを務める超攻撃的なシフトで、初めて見る形でした。ドイツ戦に向けて用意したとか、あえて見せずに隠してきたところもあるんでしょうか?

森保 隠してきたということはないですね。これまでの活動において純也が右ウイングバックをやったことはありますし、薫は前所属のユニオン(サンジロワーズ)でやっていましたし、今のブライトンでもそのポジションをやったことがある。選手たちが自チームでやっていることを代表チームにうまく取り入れて試合で生かしていくということは、これまでもやってきました。選手たちからアイデアをもらい、チーム作りに反映させる。選手たちもよく理解して自分の良さを試合の中で発揮してくれたと思います。

【次ページ】 難しかったコスタリカ戦のマネジメント

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