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宇野昌磨が異例の言及、「総合的な判断」「深夜発表」の代表選出はベストだったのか? 過去の選考理由を振り返ると…「全日本の成績」「次世代」
posted2022/12/29 11:02
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
フィギュアスケートの全日本選手権が終わり、世界選手権をはじめとする各国際大会の日本代表が決定した。
ただ世界選手権の代表に関して、発表後、さまざまな反響を呼ぶことになった。これまでも代表選考のあと、議論が沸き起こることはあったが、これまでと異なるのは、選手の発言が契機となったことにある。
宇野が異例の言及を行った「選考基準」
世界選手権代表発表会見には、選出された選手も出席。席上で宇野昌磨はこう語った。
「僕が言うことではないんですけれども……あの……選考基準というのは……どういったものか僕にはよく分からないんですけれども、あまりうれしく思えない部分もあるんですけれども、僕は頑張りたいと思います」
会見場内は一瞬にして静まりかえったようだった。
間をとりつつ、考えながら語られた言葉が契機となり、フィギュアスケート関係者をはじめ、ファンの人々の反響を呼んだ。また、選手が言及したことにより、フィギュアスケートのファン以外にも、選考基準が広く注目を集めることとなった。
代表選考方法を改めて確認すると…
あらためて、代表選考方法をおさらいしてみたい。
選考基準はこのように決められている。
男女シングルについては、
(1)全日本選手権大会優勝者を選考する。
(2)以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考する。
A) 全日本選手権大会2位、3位の選手
B) ISU グランプリファイナル出場者上位2名
C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名
(3)以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記(1)(2)で選考された選手を含め、3名に達するまで選考する。
A) (2)の A)B)C)に該当し、(2)の選考から漏れた選手
B) 全日本選手権大会終了時点でのISUワールドスタンディング上位3名
C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンワールドランキング上位3名
D) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位3名
2、3人目について対象となったのは5名
全日本選手権で優勝した宇野は、(1)に基づき代表に決定。残る2人は、(2)、(3)の基準に基づき選考される。ただ、あくまでも各項目に該当しても、それは代表の候補となるに過ぎない。候補者が何人もいる中で、議論して判断が下され、代表が選出される。