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宇野昌磨が異例の言及、「総合的な判断」「深夜発表」の代表選出はベストだったのか? 過去の選考理由を振り返ると…「全日本の成績」「次世代」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2022/12/29 11:02

宇野昌磨が異例の言及、「総合的な判断」「深夜発表」の代表選出はベストだったのか? 過去の選考理由を振り返ると…「全日本の成績」「次世代」<Number Web> photograph by AFLO

世界選手権代表発表の会見、宇野昌磨(一番右)は選考方法に異例の言及。これまでのフィギュアスケートでの代表選考を振り返ると…

 例えば2017年の全日本選手権は平昌五輪の代表選考を兼ねていた。このときの出場枠は「2」。白熱したのは優勝した宮原知子に続く女子の2人目だった。宮原とともにグランプリファイナルに進出(6位)し全日本選手権4位の樋口新葉、全日本選手権2位の坂本花織とで議論は白熱したという(全日本3位の紀平梨花は年齢の規定で五輪出場資格がなかった)。シーズン全体を見れば樋口という判断も、あるいは進境著しい姿を見せる坂本という判断もあり得る状況に、発表前、関係者やメディアの中でも「どちらになるか分からないね」という声が少なからずあった。

大きなファクターとして『次世代』がありました

 選ばれたのは坂本だった。選考の理由について、連盟は「あえて言うなら」と前置きした上で、「全日本の成績とパフォーマンスです。ジャンプにGOEのプラスがつきますし、ショート1位、フリーと合わせて2位になったのは大きいです」と説明した。

 昨年の全日本選手権は北京五輪代表選考を兼ねていた。このときは3枠。優勝した坂本が自動的に決まり、2人目には2位の樋口新葉。3人目には全日本選手権3位の河辺愛菜が選ばれた。3人目の選考対象になったのは、河辺、宮原、三原舞依、松生理乃であったことを連盟は明かした上で、選考理由を説明した。

「最終的にはこれから先、若い世代に頑張っていただくことも選考に必要じゃないかとなりました。ショートプログラム、フリーとトリプルアクセルを跳び、競技力も申し分ない河辺さんを選びました」

「選考項目に関しては数が多ければいい、という決め方ではありません。選考の土台に乗っているのが誰なのか。その中で総合的に加味した上で選出します。大きなファクターとして、『次世代』がありました」

 この選考においても、シーズン全体や選考基準の各項目からすれば別の選手の選出も考えられ、議論を呼んだ。

「総合的な判断」における全日本選手権の位置づけは…?

 つまりは、「総合的な判断」の中身はそのときどきで色合いが異なる。選考方法から逸脱していなくても、そこにあいまいさを覚える人がいるのも確かだ。また、ここにあげた2つの例は、全日本選手権に重きを置いている、と感じる人もいるだろうし、今回の選考理由がそれらとは方向性が異なっているように感じる人がいても不思議はない。

【次ページ】 連盟にメディア側が選考理由の説明をリクエスト

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