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宇野昌磨が異例の言及、「総合的な判断」「深夜発表」の代表選出はベストだったのか? 過去の選考理由を振り返ると…「全日本の成績」「次世代」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2022/12/29 11:02

宇野昌磨が異例の言及、「総合的な判断」「深夜発表」の代表選出はベストだったのか? 過去の選考理由を振り返ると…「全日本の成績」「次世代」<Number Web> photograph by AFLO

世界選手権代表発表の会見、宇野昌磨(一番右)は選考方法に異例の言及。これまでのフィギュアスケートでの代表選考を振り返ると…

 全日本選手権は優勝した宇野に次ぐ2位に島田高志郎、3位に友野一希が入った。最終的に世界選手権の代表に選ばれたのは友野と、全日本選手権では5位だった山本草太だった。

 会見ののち、連盟の担当者が明らかにしたところによると、2、3人目について対象となったのは山本、友野、島田、佐藤駿、三浦佳生の5名だったという。

2人目、3人目の決め手となったのは?

 この中から、「(グランプリ)ファイナル上位2人、シーズンベストスコア上位の項目を重視して山本選手を選考しました」と説明した(山本草太のシーズンベストは274・35点。日本男子の中で2位)。

 3人目については「シーズンワールドランキング、シーズンベストなどで、項目の中で何を満たしているのか。すべて加味した上で、最終的に友野選手を選考しました」と明かした。代表3人が決定し、次に評価が高かった佐藤を補欠の一番手に、島田を二番手にしたという。全日本選手権2位の島田の落選については、該当する項目が「(2)のA」の全日本選手権2位、3位の1項目のみであるのに対し、友野については「(2)のA」、ワールドスタンディングで日本男子3位など複数に渡って満たしていたことを踏まえ、「総合的に判断しました」としている。

 前提として、代表選考のあり方はいろいろあって、必ずしも正解が1つではない。他競技を見ていくと、競泳のように代表選考大会の成績によるほぼ一発選考のケースがあれば、国際大会での成績を重視する柔道、あるいは(国際連盟の定めにより)世界ランキングに応じて決まるバドミントン――とさまざまある。

 フィギュアスケートの方法も間違いとは言えない。例えば全日本選手権の成績のみで決めることにすれば、国際大会で活躍して全日本選手権の前々週に行われることが多いグランプリファイナルに進出した選手はコンディションの面で不利になりかねない。

 また、世界選手権の成績に応じて、翌シーズンの世界選手権(及びオリンピック)の出場枠が決まる。しっかり成績をあげられる選手を選びたい、となれば、総合的な判断に委ねるという方式も理解できる。

 その上で、今回、フィギュアスケートの世界以外からも関心を持たれ、疑問視する声も出るのは、どうしても全日本選手権が代表争いの最重要な大会と捉えられやすい点にあるのではないだろうか。大会の告知等も含め、そのように打ち出されている面があるのは否めない。そこに誤解が生じる余地がある。

これまでの「総合的な判断」の変遷

 ただ、選考基準はあっても、総合的な判断であり、そのときどきで選考の方向性が異なっているように感じられるのも事実だ。

【次ページ】 大きなファクターとして『次世代』がありました

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