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《秘蔵写真満載》バイクレースを変えた天才…写真で振り返るバレンティーノ・ロッシの情熱と革命の歴史
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2022/12/29 17:00
ヤマハYZR-M1を駆る2017年のバレンティーノ・ロッシ。ヤマハでの2度目の挑戦では王座に届かなかった
「たくさんの決まりごと」2017年2月 セパンテスト
ロッシには走り出すまでの決まりごとがたくさんあるが、その中でも有名なのが、マシンに跨がる前に「集中するため」に行なうという、この儀式である。この後、ステップを掴み、跨がる。乗る時は進行方向右側から、降りるときは左側と決まっている。ほかにも数々の決まりごとがあるが、それらは引退するまで変わらなかった。
「黄色に染まるサーキット」2018年6月 イタリアGP
全盛時代、ムジェロで開催されるイタリアGPで7連勝を達成するなど、地元ファンの期待に応えてきたロッシ。サーキットは、ロッシ応援団で真っ黄色に染まるが、2018年の大会で3位になったときはコースにファンがなだれ込んで、「バレ」コールは鳴り止まなかった。
この大会だけは、レース終了5周前にパドックを封鎖する。それは観客がパドックになだれ込まないようにするためだが、我々カメラマンも早めにパドックに引き上げなければならない。シーズンを通してもっとも熱いレースである。
「サービス精神のかたまり」2021年3月 カタールGP
ロッシの最後のシーズンとなった2021年。表彰台に立つことはなかったが、フリー走行、予選、そして決勝と、ロッシはこうしてウイリーを披露した。観客はもちろんのこと、カメラマンにとっても、ロッシのセッションを締めくくるパフォーマンスは大人気。ロッシのサービス精神は、報道関係者のハートも掴むものだった。写真の開幕戦カタールGPは、予選4位とラストシーズンのベストグリッド。決勝は12位に終わったが、印象深いウイリーだった。
「おまけ・ファンの聖地」2017年9月 イタリア・タブーリア
バレンティーノ・ロッシが生まれ育ったタブーリアは、ミサノサーキットから約10kmのところにあり、サンマリノGPを訪れたファンは、タブーリアのロッシのオフィシャルショップに立ち寄ることになる。言わば聖地だけあって、街の入り口の看板は写真のように思い出づくりのサインで埋まる。
ロッシの現役時代、レースウイークになるとこの道の制限速度を示す標識には、ロッシのゼッケンにちなんで〈46〉が掲げられたが(実際の制限速度ではない)、あっという間にファンに持ち去られたのだという。街はロッシのトレードカラーの黄色に染まり、窓からはロッシの旗が掲げられる。黄色に染まるタブーリアを訪れる旅は、なかなか興味深いものだった。
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