酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
オリ比嘉幹貴40歳=3600万円、宮城大弥21歳=8000万円の“年俸格差”…「労多くして功少なし」リリーフの待遇を考えるべき時では
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki/Hideki Sugiyama
posted2022/12/21 17:46
比嘉幹貴と宮城大弥。オリックス日本一に欠かせない2人である一方、持ち場によって“年俸格差”が生まれている
平良は、当代最強のセットアッパーの1人である。球団は一度は難色を示したが、最終的には平良の要求を入れて来季からの先発転向の意向を示した。
平良海馬 23歳 61試1勝3敗9S 34H 57.2回 率1.56 1億7000万円
また日本ハムの先発投手・伊藤大海は、新庄剛志監督からクローザー転向を求められて、再三固辞している。しかし新庄監督はテストする意向のようだ。
伊藤大海 25歳 26試10勝9敗1S 1H 155.2回 率2.95 8500万円
なぜ投手は「救援より先発」と考えるか
なぜプロ野球の投手は「救援より先発」の方がいいと思うのか?
比嘉幹貴が好例になっているが、救援投手は「労多くして功少なし」になっている。
救援投手は、万全の体調であればほぼ全試合ブルペンに待機している。何回に投げるかはだいたい決まっているが、戦況によってそれ以外の回でも肩を作らなければならない。MLBでは1試合当たり投手は1回しか肩を作らないのが通例になっているようだが、NPBではブルペンコーチの判断で何度もブルペンに上がることがある。
連投もあるし、回またぎもある。状況は毎試合異なり、心の準備をすることも難しいし、気が抜けない。
数年前に森繁和さんに話を聞いたことがあるが、「救援投手ってのは、立ったり座ったりする回数で消耗するんだ」と言った。要するにマウンドに上がっているときだけでなく、準備も大きな負担になるということ。
1シーズン143試合通してブルペンにスタンバイすれば、本当に精魂尽き果てるのだ。その一方で救援投手は、イニング数で比較すれば先発投手の数分の1しか働いていない。だから年俸も先発投手に比べて抑えられがちである。
短期間活躍しただけで消えてしまう投手も数多い
救援投手として毎年活躍し続けるのは大変なことだ。故障で戦線離脱することもある。そうなれば年俸も下がっていく。短期間活躍しただけで、そのまま消えてしまう投手も数多い。
もちろん先発投手も過酷なポジションではあるが、現在のプロ野球ではローテーションが確立されている。先発投手は「自分は次回、何日に投げるか」を知って、計画的に準備をすることができる。