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“4軍の右腕”はなぜドラフト1位になれた? 楽天・荘司康誠のマンガみたいな覚醒の舞台裏「ゼロイチは苦手だけど、吸収力が抜群」

posted2022/12/21 17:32

 
“4軍の右腕”はなぜドラフト1位になれた? 楽天・荘司康誠のマンガみたいな覚醒の舞台裏「ゼロイチは苦手だけど、吸収力が抜群」<Number Web> photograph by KYODO

ドラフト1位で楽天に入団する荘司康誠(立教大)。188cmから繰り出す伸びのあるストレートが魅力の期待の右腕だ

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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「人生何があるか分からない」

 この言葉を体現する“サクセスストーリー”を歩んでいるのが、プロ野球ドラフト会議で東北楽天ゴールデンイーグルスにドラフト1位指名された右腕・荘司康誠(立教大)だ。吉井理人新監督のもとで新たなスタートを切るロッテからも入札を受け、抽選の結果、楽天が交渉権を獲得。巨人と阪神が競合した浅野翔吾(高松商)とともに最高評価を得た。

「僕のような境遇だった選手でも諦めずにやれば、こうしてプロの世界に挑戦できるんだということを知っていただけたらと思います」

 ドラフト後の記者会見で、荘司はそう感慨深く語った。

 2年前までは学生コーチへの転身を打診されてもおかしくなかったという男は、いかにして“ドラ1”に成り上がったのか。そこには、どんな苦境でも諦めなかったからこその出会いがあった。

同期は山田健太ら、一時は“4軍”も経験

「家族みんな身長が高いんです」という恵まれた体格を持ちながらも(現在188センチ)、中学時代に所属した新潟西シニアでは控えの外野手。地元の県立の進学校に落ちて入学した新潟明訓高ではエースとなるも最後の夏は初戦敗退を喫している。当然、スポーツ推薦の誘いを受けた大学はひとつもなかった。

 野球を諦めてもおかしくなかったが、「このままでは終われない」と以前から憧れを抱いていた東京六大学野球への思いをいっそう強め、立教大学に指定校推薦で進学した。

 野球部の門を叩いたものの、大学2年生まではベンチ入りすら遠い存在で、山田健太(大阪桐蔭→日本生命)ら1年生から活躍する同級生たちとは対照的にDチーム(4軍相当)にいたこともあった。3年生になったら“学生コーチへの転身”を言い渡されるのではないかと危機感を覚えていたという。

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