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「サッカー興味なかったのに本田さんの解説で…」にわかファン激増の“ケイスケホンダ語録”を最終検証…PK敗戦「74秒後の言葉」に震えた
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byGetty Images
posted2022/12/07 17:02
SNS上でも「サッカー興味なかったのに本田さんの解説で……」という声が多く挙がった。その解説の核心に迫る(写真は2020年撮影)
「サッカーの見方」を教えてくれた
<名言3>
「佑都! イケるね、36歳」(前半11分)
ネット上では、誰かを肯定すれば「好きだから褒めている」、否定すれば「嫌いだから批判している」と安易に書き込む人が見受けられる。自分がそう考えるから、他人も同じと判断するのだろう。しかし、一人ひとり考え方や性格は異なる。本田は良ければ褒めるし、悪ければ指摘する。当然ではあるが、好き嫌いではなく、プレーの良し悪しで判断する。
日本代表として長年一緒に戦った同い年の長友佑都にも「パスが雑い。サッカー業界的には雑いと言います」(コスタリカ戦/前半15分)と叱咤する場面もあれば、素晴らしい動きには「イケるね、36歳」と賛辞を送る。現実をありのままに受け止める姿勢がある。
<名言4>
「相手の両サイドバックが能力あんまり高くないんでね」(後半4分)
<名言5>
「なんで代えないんだろう、森保さん」(延長前半13分)
昨今、大半の解説者は周囲の反応を気にし過ぎるため、監督や選手に遠慮しているように見える。逆に、それが人気を遠ざけている可能性もある。なぜなら、素人からすると、サッカーは責任の所在がわかりにくいスポーツだからだ。「パスミス」1つ取っても、捉え方は人によって異なる。出し手の技術が足りないのか、受け手の動き出しが悪いのか。ゴールに至るまでのプレーの良し悪しが、素人にはひと目で判断しにくい。
その点、本田は「(相手の)3番のところチャンスですよね。今ね、3番(ヘディングで)競らなかったでしょ」(後半43分)のように悪い部分をきちんと指摘した。すると、視聴者は今のプレーは良くないと理解できる。解説者が一つひとつ丁寧に指摘してくれれば、サッカーを見る目が徐々に肥えてくる。ファンの質の向上はどの分野でも重要だ。
今大会を通して、本田は相手の弱点をすぐに伝え、日本選手の動きや監督の采配への疑問も投げ掛け続けた。あくまでも現実を直視し、ネガティブな面があればそれをポジティブに変えようとした。物事をプラスに転じたいなら、まずマイナス(弱点、穴)を認識しなければならないことを教えてくれた。