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〈将棋〉A級順位戦マスク不着用問題を整理する… ただ「佐藤天彦九段が藤井聡太竜王に勝利」など、盤上の戦いにこそ注目を 

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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posted2022/11/14 11:00

〈将棋〉A級順位戦マスク不着用問題を整理する… ただ「佐藤天彦九段が藤井聡太竜王に勝利」など、盤上の戦いにこそ注目を<Number Web> photograph by Kyodo News

マスク不着用の件で注目が集まってしまった佐藤天彦九段だが、直後の棋王戦本戦トーナメント準決勝では藤井聡太竜王に勝利している

 後日の週刊誌の記事によると、永瀬は「マスクをつけないのは、反則負けではないか」と、記者室の関係者に繰り返し言ったという。それを受けてある記者が、将棋連盟の常務理事の鈴木大介九段に連絡したようだ。永瀬はその確認で対局室と記者室を行き来したのだろう。

 佐藤は23時30分頃、マスクを3分ほど着用した。それは規定を思い出したというよりも、無意識の動きに見えた。以降はマスクを外したままだった。盤面に集中するあまり、マスク不着用を失念した感じだった。

対応する側は“就寝間際の緊急案件”だった

 実は当日、連盟会長の佐藤康光九段と理事の鈴木九段は、棋聖戦で対局して夕方に終わった(結果は鈴木の勝ち)。それから数時間後、鈴木理事は前記の記者から連絡を受け、佐藤会長とすぐに協議した。就寝間際の時間帯の緊急案件だった。

 鈴木理事は中継画像を見て、佐藤九段のマスク不着用を確認したうえで、佐藤会長の最終的な判断によって、佐藤九段の反則負けが決まったという。

 24時頃に鈴木理事が対局室に入ってきた。報道によると、「相談があるので対局を止めていただきたい」と言って、両対局者を別室に呼んだ。そして、佐藤九段にマスク不着用による反則負けを伝えた。佐藤は事前の注意や警告がなかったと主張したが、鈴木理事は「注意する必要はない」と退けたという。

 佐藤は対局室に戻ると盤の前にしばらく座り、観戦記者に一礼して退室した。永瀬もその数分後に戻って退室した。盤面の駒は対局中のままで、駒箱にしまわれなかった。

 佐藤九段の反則負けについて、「一発退場は厳しすぎる」「規定を順守すべきだ」「盤上で勝負を決するのが真っ当」「マスク着用の杓子定規なやり方を止めてほしい」など、将棋界の内外から賛否両論の声が上がって波紋が生じている。

佐藤九段が提出した「不服申立書」の内容とは

 佐藤九段は11月1日に将棋連盟へ「不服申立書」を提出した。

「盤面に集中するあまり、盤面以外に意識が及ばず、マスク不着用によって、対局相手の永瀬拓矢王座にご迷惑をかけたことを、心よりお詫びします」という主旨で陳謝し、過去の対局でマスク不着用の違反をしていないと弁明した。

 不服申立書では、「自分の行為は故意ではなくて過失によるもので、臨時対局規定に明文化されていない」「その規定は、注意・警告をしてもマスクを着用しない場合に適用すべき」「反則負けの判定は懲戒権の濫用に当たる」「判断権者の公平性が疑われる」などの主旨で、臨時対局規定の改正を求めた。

 さらに佐藤九段は、「反則負け判定の取り消し」と「対局のやり直し」を要求した。

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