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プロ野球PRESSBACK NUMBER
ヤクルト今野龍太の母校も休部に…急増する「少人数野球部」のリアルとは?「20点、30点取られますし、心折れそうになります。でも…」
posted2022/10/28 11:04
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph by
Naoya Sanuki
2022年9月。秋の神奈川県大会に「9校連合」のチームが現れた。おそらく「全国最多」ではないかと思われるこのチームが、地区大会を勝ち上がり、81校参加の県大会に出場したのだ。神奈川新聞に掲載された整列写真には、9種類のユニホームを着た選手たち計12人が並んでいた。9校も集まって一つのチームを結成するこの形は、そう遠くない、高校野球の未来を予見しているようにも見えた。甲子園を目指す高校野球と、もう一つの高校野球。少子化も影響し、野球人口は減り続けている。近年増える少人数野球部の未来は果たして暗いのだろうか? ある一例を紹介したい。
「岩出山の星」今野の母校も休部に
日本シリーズでも登板したヤクルトの中継ぎ投手・今野龍太の母校、岩出山の野球部が部員ゼロで今年から休部になった。昨夏は3人の3年生が連合チームを組んで夏の宮城大会に出場したが、その3人が卒業し新入部員が入らなかったため部員がゼロに。この事実を伝え聞いていた今野は「ちょっと寂しいですね。僕らのときは9人いないと自分たちが試合に出られないので、チラシを作って中学校で野球部だった子を中心に必死に勧誘しましたが、いまの高校生はそこまでの情熱が湧かないのかもしれませんね……」と語った。
今野が在籍していたときも、野球部は慢性的な部員不足に悩まされていた。2012年秋、高2のときの部員は5人。秋の大会に出られなかった。実はこの年に、日本高野連が連合チームで公式戦に出られるように規制緩和を施行したが、岩出山は当初、連合チームを組んで試合に出ることもなかった。当時の相原正美監督(現・仙台西監督)は「連合チームという考えがまだ浸透していない時期でしたし、他校の野球部が潤沢で、連合を組んでくれる相手がいなかったのです。うちのような少人数野球部は、夏が終われば部員不足で秋は出られない。新入生が来る春に部員を補充し、何とか春季大会に出場できるように頑張っていた時代でした」と振り返る。