- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
ヤクルト今野龍太の母校も休部に…急増する「少人数野球部」のリアルとは?「20点、30点取られますし、心折れそうになります。でも…」
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byNaoya Sanuki
posted2022/10/28 11:04
今年の日本シリーズでも好投を見せたヤクルト・今野龍太投手(27歳)
今野「少人数だから入部した」
ここで視点を変えてみる。過疎化が進む地でプロ野球を目指す子どもは、地元ではなく強豪校に行くしか方法はないのか? ヤクルトの今野は「少人数だから入部した」と言い切る。
「だって1年春から試合に出られるじゃないですか! それに尽きます」
たしかに“公式戦出場ゼロ”で終わることもある大所帯野球部にはない環境だ。
「入学当初は2学年上にエースの先輩がいたので、自分はショートなどの内野を守っていました。人数が少ないから、ノックをいっぱい受けられるのが良かった。打席にも多く入って好きなだけバッティングができますし。部員は5人の時もありましたが、どういう練習をしたらいいか考えて前向きにやっていましたね。試合形式の練習ができないところは大変でしたけど」
相原監督に聞くと、当時は秋季大会に出られないかわりに、ダブルヘッダーの練習試合をひと秋に約50試合組んでいたという。相手チームから部員を借りる特別ルールで、だ。「今野が2年生だった秋は1戦目の先発が今野なのでいい試合ができて楽しかったです。ただ、2試合目はものすごいワンサイドゲームで負けるんです。午後の試合はいつも憂鬱でしたよ」と懐かしむ。
相原監督は中学の野球部監督時代に、元巨人の星孝典(現楽天コーチ)を指導し、県大会優勝経験もある。星や今野のような将来有望な選手に対しても、自分で考えて課題に気づかせる「天然素材」の育成をすると心に決めていた。今野の場合はインステップ気味な投球フォームだったが、矯正しなかったことで本人に修正能力がついた。教えた変化球はカーブとスライダーのみ。それで高3夏に宮城大会(2回戦)16奪三振、ノーヒットノーランを達成するのだから、何が正解かわからない。