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阪神ファンは神宮でも「六甲おろし」を唄うのか…声出し応援の是非を問う! 繰り返される”ルール違反”にNPBはどう対応すべき?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2022/10/12 11:00
クライマックスシリーズのDeNA対阪神戦、阪神ファンの「六甲おろし」合唱に対し、横浜スタジアムの電光掲示板に注意を喚起する表示が…
新型コロナウイルスの感染が国内で本格化した2020年から、NPBとJリーグは「新型コロナウイルス対策連絡会議」を共催して、日本のトッププロスポーツとして、野球とサッカーだけではなくスポーツ界全体のコロナ対策を先導してきた。
無観客での開催に始まり、入場制限をした中での有観客試合の挙行。そしてようやく2022年に観客制限を撤廃して、コロナ禍からの出口へと向かって一歩ずつ歩を進めてきている。
その中で絶対にスタンドからクラスターを発生させないための方策として「声出し応援禁止」という観戦ルールが決められた。
一部阪神ファンのルール無視を「問題視」
しかし20年に入場制限をしながらの有観客試合を始めた直後から、一部阪神ファンのルール無視は「問題」と指摘されてきた。
ところがルールを決めたNPBも、本拠地ゲームを主催する阪神球団も口だけで自粛を求めるものの、具体的な対策は何も行わないままだった。いわば見過ごす形でここまで過ごしてきた結果が、あの「六甲おろし」なのである。
NPBと共に「対策連絡会議」を共催するJリーグでは、サポーターが違反をしたチームに厳しい処分を科している。20年10月と22年5月にサポーターが声出し応援をした浦和に対しては、けん責とそれぞれ300万円と2000万円という罰金を科す処分をおこなった。またJリーグではサポーターに起因する違反が起きた場合にも、当該チームに対して無観客試合や勝ち点剥奪などの処分を科す可能性も伝え、チームに対策を徹底することを求めている。
そういう意味ではコロナ禍以来のNPBの対応の甘さが、結果的には一部阪神ファンを野放しにする原因となってしまっているのは確かなのである。
甲子園球場の応援風景の伝統
もちろんファンが球場で観戦する大きな楽しみに、声を出しての応援や味方チームが得点したときにスタンド全体が一体となって繰り広げるパフォーマンスなどがあるのは理解できる。特に甲子園球場の応援風景は伝統もあり華やかで、選手それぞれの応援歌を歌い、チャンスにはファンがチームを後押ししている実感がたまらない。