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投手・大谷翔平はすでに“日本史上最高”か? 高卒3年目で「投手3冠」、その後の驚異的成長を考えると…《ダルビッシュ&山本由伸と比較》
posted2022/10/11 11:03
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph by
Getty Images
大投手の生涯ベストシーズンの成績を比較して、日本プロ野球史上No.1投手を探る旅。金田正一、田中将大、ダルビッシュ有、稲尾和久、権藤博に続く第6回は、いまやメジャーを席巻する二刀流・大谷翔平(日本ハム-エンゼルス)だ。
圧巻だった“6月以降”。MLBトップ投手に遜色なし
メジャー5年目の2022年シーズンは、投手・大谷にとって大きく飛躍した年だった。28試合に登板し、渡米後初の規定投球回に到達。15勝9敗、166投球回、219奪三振、44四球、防御率2.33、WHIP1.01と、ア・リーグの先発投手の中で、勝利数4位、防御率4位、奪三振3位、奪三振率1位と見事な成績を残した。特筆すべきは開幕2連敗とやや調子が上がらなかった序盤の2カ月を除いた、6月9日以降の全19登板の内容だ。
ア・リーグでサイ・ヤング賞の受賞が確実視されるバーランダー(アストロズ)、ア・リーグ奪三振王のゲリット・コール(ヤンキース)のシーズン通しての成績と比較すると以下のようになる。
【大谷】登板19 投球回117.5 勝敗12-5 奪三振154 奪三振率11.80 被安打80 四球33 防御率1.66 WHIP0.96 ※今シーズン6月9日以降
【バーランダー】登板28 投球回175 勝敗18-4 奪三振185 奪三振率9.51 被安打116 四球29 防御率1.75 WHIP0.83 ※今シーズン全体
【コール】登板33 投球回200.2 勝敗13-8 奪三振257 奪三振率11.52 被安打154 四球50 防御率3.50 WHIP1.02 ※今シーズン全体
リーグを代表するスーパーエースとの比較でも、大谷は奪三振率と防御率で二人を上回った。より多く三振をとり、得点を与えない――。打者の圧倒度という視点では、大谷はいまやリーグ最高クラスの投手と言えるだろう。
逆に、二人にやや劣るのは与四球率で、この数字が改善されればWHIPも上がる。勝利数、勝率については、106勝56敗でア・リーグ西地区を制したアストロズ、99勝63敗で東地区を制したヤンキースに対して、73勝89敗で西地区3位に沈んだエンゼルスのチーム力を考慮する必要がある。
今季、先発して2点以内に抑えながら勝ちがつかなかった試合が7試合あった。強力打線と強力救援陣の援護があれば、18勝で最多勝を獲得したバーランダーと最多勝争いをしていたのは間違いない。