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阪神ファンは神宮でも「六甲おろし」を唄うのか…声出し応援の是非を問う! 繰り返される”ルール違反”にNPBはどう対応すべき?
posted2022/10/12 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
ヤクルトへの挑戦権をかけたセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは、阪神が接戦を制し、2勝1敗でDeNAを下して勝ち上がりを決めた。レギュラーシーズン68勝71敗4分けと3つの借金で終わったチームが、「史上最大の下剋上」を目指してヤクルトとのファイナルステージを戦うことになった。
1勝1敗で迎えた第3戦。流れを変える本塁打が飛び出したのは、DeNAが2点をリードした4回だった。
2死から阪神の6番・佐藤輝明内野手がDeNA先発の濱口遥大投手の高めの真っ直ぐを一撃。センターバックスクリーン横に飛び込む反撃弾を打ち込んだ。
阪神ファンが”ご法度”「六甲おろし」の合唱
3万2977人とほぼ満員に膨れ上がった横浜スタジアム。ほとんどを横浜ブルーのユニフォームが埋め尽くしたスタンドが落胆のどよめきに包まれた中で、流れ出したのが左翼席を埋めた阪神ファンが歌う「六甲おろし」の合唱だった。
コロナ禍によって声出し応援が禁止されている横浜スタジアムでは、“ご法度”の応援。しかしCS3試合で、阪神が得点するたびに繰り返された“ルール破り”が、またも起こったのである。
「声を出しての応援はお控えください」
すかさず場内アナウンスが注意喚起する。それに応えてDeNAファンから起こった、放送を支持する拍手が球場を包んだ。
CSだけではない。レギュラーシーズンでも、他チームのファンがひたすら声出しを控えての応援を意識する中で、本拠地・甲子園球場に止まらず、どの球場でも一部の阪神ファンだけはお構いなしである。
この一部の阪神ファンへの鬱積した思いが、横浜スタジアムに静かに鳴り響いた無言の拍手には込められていた訳だ。