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「ラッキーマンですよ、僕は(笑)」37歳千葉和彦の“笑顔”がアルビレックス新潟に必要だった理由〈6年ぶりのJ1昇格〉 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byJ.LEAGUE

posted2022/10/11 17:11

「ラッキーマンですよ、僕は(笑)」37歳千葉和彦の“笑顔”がアルビレックス新潟に必要だった理由〈6年ぶりのJ1昇格〉<Number Web> photograph by J.LEAGUE

6年ぶりにJ1昇格を果たしたアルビレックス新潟。原動力の1つとなったのがサポーターとの一体感を生んだ千葉考案のパフォーマンスだった

 千葉の明るいキャラクターはJリーグファンには認知されているだろう。だが、底抜けの明るさの裏には、知られざる苦労がある。

 三重県・日生学園第二高校(現・青山高校)を卒業した千葉のもとにJリーグからのオファーは届かなかったが、プロサッカー選手になる夢を叶えるべく単身でオランダへ。テスト入団を経て加入した2部クラブでアマチュア選手としてキャリアをスタートさせた。2年間のプレーを終えて帰国した2005年に新潟の練習に参加。そこで反町康治監督(当時)の目に留まり、同年の8月に正式契約に漕ぎ着けたという異色の経歴の持ち主でもある。

 これまで新潟を含め3つのクラブで活躍してきたが、怪我やポジション争いに打ち勝てず、不遇の時を過ごしたことは何度もある。J1昇格に貢献した今シーズンも決して順風満帆ではなかった。

 古巣・新潟に完全移籍を果たした昨季は、アルベルト・プッチ・オルトネダ監督(現・FC東京監督)の信頼を掴み、39試合でスタメン出場。うち38試合フル出場とチームの主軸として過ごしたが、今季は24試合とベンチを温める機会も少し増えた。しかし、それでも千葉のスタンスは一切変わらない。

「自分が試合に出ようが出まいが、周りを笑顔にするために振る舞えるのが僕の良さであり、武器だと思っている。自分はあくまでチームの勝利のために働く1つの駒であるし、チーム全体の歯車がうまく回るように立ち振る舞いたいと常に思っているんです」

 その考えの根本には『笑う門には福来たる』という言葉がある。

「必ずおこぼれが来るんですよ(笑)」

「ベンチ外、試合に出られていないときは、当然プロとしての悔しさはあります。でも、自分がいざ試合に出るとなった時に、チームの調子がいい方がいいじゃないですか。『あいつが調子いいと自分が試合に出られなくなる』というマインドではなく、みんなの調子が良ければ、チャンスが巡ってきた時にストロング(長所)を出しやすい環境になっている方がいい。ちょっとパスミスをしても周りの調子が良ければ(パスは)通るし、(味方が)チャンスに変えてくれる。みんなの動きが良くて、全員で守ってくれれば自分の負担も減る。めぐりめぐって自分にプラスに返ってくる。そういうマインドで生活をしていたら、必ずどこかでおこぼれが来るんですよ(笑)」

 ただ、「だいぶ時間はかかりました」と話すように、プロとして歩み始めた頃から現在の境地に到達していたわけではない。転機は2012年から7年間在籍した広島での経験だった。

【次ページ】 広島でJ1優勝を経験「世界が広がった」

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