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「兄が医者なら、俺は弁護士」名門・明治大サッカー部主将が目指す“弁護士Jリーガー”「プロ生活は今以上に自由な時間が増える」
posted2022/09/30 06:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
明治大学体育会系サッカー部主将のDF林幸多郎(4年)が、J1昇格を狙う横浜FCへの来季加入内定を発表した。
プロサッカー選手という夢を叶えた大学生には、もう1つ大きな夢がある。それは弁護士バッジをつけることだ。
「法学部で勉強したことで、この世の中はあらゆる法律で成り立っていることを知ることができた。最初は司法試験を目指そうなんて思っていませんでしたが、一生懸命、勉強をしたら将来何かにつながると感じたので弁護士を目指すことにしました」
今年5月の司法試験は、予備試験の最初の関門となる短答式試験で不合格に終わったものの、「来年以降もチャレンジしていきたい」と継続して挑む覚悟を固めた。
ただ、これから林が挑戦するのは「プロアスリート」としての生活との両立だ。果たしてそんなことは本当に可能なのだろうか。
問題を解く“爽快感”はサッカーと同じ
出身は佐賀県嬉野市。小3で始めたサッカーにのめり込んでいく一方で「学校の授業で問題を解いた時の爽快感は、サッカーをしている時間と同じくらい楽しかった」と小さい頃から物事を論理立てて考える性格だった。
地元のサガン鳥栖U-15のセレクションで合格を勝ち取ると同時に、中学受験にもチャレンジ。同県トップクラスの偏差値を誇る中高一貫校の県立香楠中学に合格する、まさに文武両道を体現するスーパー少年だった。
メキメキと上達した林は鳥栖U-18への昇格を決める。ただ、活動拠点が鳥栖市から佐賀市に移ったことで、香楠中からのエスカレーター式に上がれる鳥栖高校への進学を断念し、こちらも進学校である佐賀北高校を受験し直した。
高校でも成績は常に学年10位以内。サッカーでは近年躍進が目覚ましい鳥栖U-18でも高1から出番を掴み、3年時はキャプテンとしてチームを牽引している。
「サッカーは将来の夢を叶える大切なもので、勉強は達成感を得ることができる大事な趣味。サッカーする時間、勉強する時間をうまくマネジメントしていることが楽しかった。どんなに上手い選手でも24時間ずっとサッカーをやっているわけではないし、サッカーをやっていない時間を僕はただ勉強に割いているに過ぎなくて、それ以上でもそれ以下でもない。(すごいと言われることが多いですが)別に何も犠牲にしているわけでないんです」