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大学野球PRESSBACK NUMBER
甲子園中止→19歳で大学日本代表…明大のプリンス・宗山塁が“大学野球のスター”になるまで「『悲劇の世代』と思ってほしくない」
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byJIJI PRESS
posted2022/10/08 11:01
明大2年生ながら大学日本代表入りを果たした宗山塁(明治大)。「甲子園中止世代」のひとりとして、宗山が今思うこととは?
「気持ちの強さも求められますし、普段から、練習のための練習ではなくて、試合を想定しながら練習することが大事。自信が持てるまで練習して、『あとは試合で力を出すだけ』という状態をつくれるかどうか」
秋季リーグ戦の開幕カードで、東京大学に苦しんだものの、2勝(1分)で勝ち点を取った。早稲田大学との2回戦では5安打(2ホームラン)、7打点の活躍を見せた。春秋連覇のためには、直近の10シーズンで5回優勝の慶應義塾大学を倒さなければならない。
「明治は、ほかの大学野球部よりも、寮生活を厳しくやっていると思いますし、質の高い全体練習のあとに個人練習にも時間を割いています。その積み重ねがいい結果を生むし、試合終盤の粘り、負けている時の踏ん張りに出る。そういう部分は、伝統として受け継がれているなと感じます。
勝負強さとか勝利への執念、粘り強さは、広陵に通じるかもしれません。明治も広陵も、野球だけをやっていればいいという野球部ではありません。野球以外の部分がグラウンドでのプレーに大きく影響すると思っています」
悲劇の世代とは「思ってほしくない」
プレイヤーとして、何を目指すのか?
「通算100安打、首位打者を取ることを意識していますが、数字はあとからついてくればいい。優勝して、さらにタイトルも取れればと考えています。それよりも、まだできないことに目を向けています。打てなかったボール、捕れなかった打球をどうにかしたいという思いが強いですね。
長打を増やしたいと思って冬の間に練習を積んで、この春は3本のホームランを打つことができた。自分がやってきた練習は間違っていないと確信できました」
コロナに甲子園を奪われた世代――「悲劇の世代」とも言われることに対して何を思うのか?
「個人的には『悲劇の世代』と思ってほしくないですね。甲子園大会が行われなかったことは仕方がなかったわけですし、それを含めての経験だと思う。自分たちの学年以外は、あんな思いはしなかったわけですから。『かわいそう』と思われることがないくらいに、今後の人生で活躍していきたい。それこそ、『あの経験があったからいまがある』と胸を張れるくらいの、頑張りを見せられたらなと」
2年後のドラフト1位候補にも挙げられる宗山。広陵の中井監督も彼の成長に目を細める。
「明治大学野球部の方が『宗山は本当によく練習する』と感心していました。自主練習でも、まず守備をしっかりやってから、そのあとにバッティング。黙々と頑張っているようです。『宗山には言うことがない』と言われました」
シャープなスイングで強い打球を弾き返し、イレギュラーバウンドでも冷静にさばく宗山。センスにパワーを加えた彼が神宮球場でさらに光を放つはずだ。
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