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大学野球PRESSBACK NUMBER
甲子園中止→19歳で大学日本代表…明大のプリンス・宗山塁が“大学野球のスター”になるまで「『悲劇の世代』と思ってほしくない」
posted2022/10/08 11:01
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph by
JIJI PRESS
2年前、「甲子園のない夏」を終えて…
2020年5月20日、夏の甲子園中止が正式に発表された。
新型コロナ感染拡大に伴う寮の閉鎖から約2カ月ぶりに戻ってきた3年生を前に、広陵・中井哲之監督は言った。
「まだ高校野球は終わりじゃないぞ」
甲子園中止を知った瞬間、「どこに気持ちを向けていいかわからなかった」宗山が当時を回想する。
「中井先生の言葉で、気が引き締まりました。それに自分はキャプテンという立場でしたから。チームのみんなには『甲子園はなくなってしまったけど、自分たちの代で広陵野球部が終わるわけじゃない。これから先も続いていくんだから、しっかりやっていこう』と伝えました。自分たち3年生は、後輩たちに弱いところを見せるわけにはいかない。もしそこから生活が乱れるようなことがあれば、伝統を途切れさせることになってしまう。広陵野球部のひとりとして、これからが大事なんじゃないかって」
選手たちは気持ちを奮い立たせ、甲子園の予選の代わりに行われる広島独自大会に全力を注いだ。
「このまま高校野球を終えるのかなと思っていたので、最後に試合ができることはやっぱりうれしかったです。学年に関係なく、ベストメンバーで大会に臨みました」
広陵は決勝まで進んだものの、広島商業に敗れた。
「前年夏の広島大会で敗れた広島商業に、最後にまたやられてしまいました。でも、その悔しさをバネに残りの高校生活を頑張ることができたと思います。後輩たちにもそういう姿を見せられたので、いま考えればいい経験だったのかもしれません」
広陵野球部は「夏の大会が終われば引退」にはならない。11月末には広島商業との定期戦があるため、3年生も練習を続ける。もちろん、髪型は丸刈りのままだ。