金属→木製…どう適応させたか

　甲子園のない夏を終えた宗山は次のステージのための準備を始めた。東京六大学の名門である明治大学でプレーする自分の姿をイメージしながら。

「3年の夏までは、チームに対してどんな貢献ができるか、どうやってチームを強くするかということに時間も労力も割いていたのですが、それ以降は個人のレベルアップを第一に考えました。自分を成長させられるかどうかは自分次第。引退後は自分の課題と向き合う時間が多くなり、この期間にものすごく伸びたと思います。仲間ともそれまで以上に野球の話をすることも増えて、楽しかったですね」

　高校野球で使っていた金属バットが大学では木製バットになる。宗山はその対策にじっくり取り組んだ。

「金属バットではあまり力がなくても飛んでいきます。でも、木のバットの場合、芯でとらえないと強い打球が打てない。それにパワー、スピード不足も感じていたので基礎体力の強化は絶対に必要でした」

　宗山のセンスは誰もが認めるところだが、それだけではレベルの高い東京六大学では通用しないかもしれない。そのことに誰よりも気づいていたのが宗山本人だった。

「木のバットになるとより高い技術が必要になる。バットの芯でいかにとらえるかという部分があいまいだったのですが、それを突き詰めることが大事だと思いました。木のバットに慣れることと、木のバットの打ち方を身につけるのとではちょっと違う。木でいい打ち方ができるようになるまでは時間がかかりました」

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