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「クジを外して良かったかも…」巨人スカウトが明かす”外れドラ1"大勢がクローザーで大化けしたワケ《新人最多セーブ記録まであと1S》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2022/09/26 17:02
巨人の球団新人記録36セーブをあげているクローザーの大勢。プロ野球新人タイ記録まであと1セーブに迫っている
「リリースのときに手首が寝ると、どうしてもボールが離れる瞬間に横回転が余計にかかりやすくなる。特に横や下から投げるピッチャーは手首が寝やすい。だから余計にシュート回転する。そこを修正すればいいだけの話なんだけど、意識してやろうとすると、それがなかなか難しいんだけどね」
クローザーで大勢が成功できた秘密とは
確かに大勢のピッチングフォームを見ていると、腕は横振りだが、リリースの手首はしっかり立っている。特に右打者の外角を狙うと左肩の支点がより強くなって、余計に手首が立つのかもしれない。サイドに近いスリークォーターという腕の振りだが、しっかり手首が立つことで外角へのボールがむしろカット気味に動いて中に入ってこない。大勢の場合は大学時代から、おそらく無意識にその手首の使い方ができているのだろう。
そこにこそ、ポカが許されない、失投が許されない、クローザーというポジションで大勢が成功できている、1つの秘密があるのだった。
新人記録タイまであと1セーブ
9月25日の中日戦を終えた時点で、積み上げたセーブはチームのルーキー記録となる36セーブ。ルーキーの最多セーブ記録は2015年にDeNAの山﨑康晃投手と2021年に広島の栗林良吏投手が作った37で、大勢はあと1セーブで並び、更新には2セーブと迫っている。
「(記録は)やっぱりみなさんが気にしてくれていて、もうちょっとや、と声をかけていただいている。自分より周りの人が多分、意識している状況です。でも自分はチームの1勝のために投げるだけ。その結果が記録につながったらいいと思っています」
36セーブ目を挙げた9月21日のDeNA戦後の取材、大勢は記録と勝利への気持ちをこう語った。
広島、阪神と三つ巴でクライマックスシリーズ進出をかけた熾烈な3位争いも、いよいよ残り2試合。セーブ記録にあと1つと迫った大勢が、この2試合でタイ、新記録を樹立すれば、チームもまた、ポストシーズンへと大きく前進することになる。
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