「クジを外して良かったかも…」巨人スカウトが明かす”外れドラ1"大勢がクローザーで大化けしたワケ《新人最多セーブ記録まであと1S》

　いまでも覚えている言葉がある。

「ひょっとしたらクジを外して良かったかもしれないですよ！」

　昨年のドラフト直後、ある巨人のスカウトと話をしていて飛び出してきた言葉だった。

　昨年のドラフトで巨人は入札1位で即戦力左腕と評判の高かった西日本工大・隅田知一郎投手を指名した。しかしその時点でくじ引き10連敗中という“実績”通り、4球団競合の末に案の定、隅田の交渉権は西武が獲得。そして“外れ1位”として単独指名したのが、中央球界ではあまり名前を知られていなかった関西国際大学の翁田（おうた）大勢投手だった。

巨人に1位指名され、色紙に「開幕一軍」と目標を記した関西国際大学の翁田大勢　©︎KYODO

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　指名直後に聞いた情報では、真っ直ぐに力がある本格派だが、大学時代はけがに泣かされ出場機会も少なかったというもの。そこで知り合いのスカウトに「どんなピッチャー？」と聞くと、第一声で出てきたのが、冒頭の言葉だったのである。

潜在能力の高さを一番に評価していた投手

　去年の巨人の補強ポイントは左の先発要員となる即戦力投手。1位指名は、そのカテゴリーのナンバー1と評価した隅田に決定したという背景があった。

「もちろん隅田も左の先発候補としてはトップの評価でだから1位入札にいったわけですけど、でも翁田（大勢）は潜在能力の高さは1番に評価していた投手なんです。だから僕はむしろ、いまは翁田を獲れて良かったんじゃないかと思っている」

　結果的にはそのスカウトの言葉通りに、今年の巨人の中で大勢の出現は、最も価値ある収穫だったということになりそうだ。

　大勢の活躍の一番の背景は、やはりルーキーながらいきなりクローザーに抜擢した決断だったといえるだろう。

　入団が決まった当初は原辰徳監督も先発候補と考えていた経緯はある。ただその中で一つ、懸念されていたのが大学時代の故障歴だった。

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