サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「鎌田大地、三笘薫の得点や久保建英の守備は…」「ドイツ、スペイン相手だとどうなるか」欧州在住カメラマン視点で見るアメリカ戦
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/09/26 20:00
鎌田大地のゴールなどでアメリカに2-0で快勝した日本代表。ピッチレベル視点で見てみると?
日本の快調ぶりとは相反して、撮影の手応えはイマイチだったという点が、そう感じさせたのかもしれない。画像を確認してみると、前線の選手は撮影できているが、ボランチからDF陣の撮れ高が少なかった。
なぜか?
最終ラインからの組み立て時、CBの吉田麻也、冨安健洋からボランチの遠藤航、守田にパスを入れることがほとんどできていなかったことが気になった。
入ったとしても、ワンタッチで前を向けるシーンがほとんどなく、望遠レンズをもってしても狙えないような自陣深くでのパス回しが多くなっていたのだ。
この日のアメリカは、日本の最終ラインまで激しくプレスをかけるようなことはなく、やや中央を固める陣形を取っていた。前線の前田に放り込むのはDFとの身長差を考えても得策ではなく、残されるのは両サイドバックへのパスだけだったが、酒井宏樹、中山雄太もそこから前進したり前につける回数は少なく、DF間でパス回しをする時間が増えていった。
試合を通すとカウンターを有効活用して相手の策を上回ることはできた。一方で、相手を押し込んでゲームを作るという時間帯は限られたようにも感じた。
ドイツやスペイン相手だと、どうなるのだろうか
ドイツやスペインという、現代サッカー最先端と云われる相手を前にした時、どうなるだろうか。
日本の前線からのプレスを相手は嫌がるだろうが、この日のアメリカほどのミスは犯さないだろう。日本のショートカウンター数が半分以下になった時、その数少ないチャンスを決め切れるのか。さらには前がかりになりすぎると、マークを剥がされて大ピンチを招きかねない。
また、ポゼッションで上回られた場合、相手の攻撃が切れてやっと自分たちのボールでリスタートしたものの、前線までボールを展開できないとなると、自陣で奪われて波状攻撃を受け、消耗が激しくなってしまう。アメリカは、本番で想定されるような強度のプレスではなかっただけに、今後はドイツやスペインをどこまで意識していけるか……。
久保や鎌田たちが見せた「ヨーロッパ流の戦術」
ただ、悲観的なことばかりではない。
現日本代表には、海外組というだけでなく、CLを戦う鎌田、守田、前田、古橋亨梧、ELを戦う久保、南野、堂安律、冨安健洋と「CL・ELリーガー」が数多くいる。彼らの技術に疑いはなく、またヨーロッパ流の戦術が染み付いている。