濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“往年のレジェンドボクサー”のファイトは「ドル箱」に…朝倉未来と対戦、メイウェザー45歳が“日本のRIZINで闘う理由”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/09/23 17:04
9月22日の公式練習には1時間以上の遅刻。しかし始まると凄まじい動きを見せたメイウェザー
試合展開はメイウェザー次第?
「あれだけ動いて、まったく息が切れてない」と榊原CEO。ジム「KOD LAB」を提供した元WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志も賞賛する。
「練習を間近で見たのは初めてですけど、威圧感、鉄壁感のようなものが出てましたね。軽くやってるのは分かるけど、それでも凄い。単なるデモンストレーションではなかったですね。スピードがあるし体の動きにブレがなかった。もちろん、昔よりも反応は鈍ってると思います。でも、鈍ってると言ってもメイウェザーですからね」
メイウェザー自身は、練習を終えるとこう言った。
「近くで見てみないと技術の違いは分からないと思う。で、今日見てもらって、すべてにおいて次元が違うのが分かっただろ? 俺は“これ”を何年もやってる。80年代からね。だから今日も特別じゃない、ただの1日だ」
KOはありそうかと聞かれると、こう答えた。
「前回(那須川戦)は早く終わらせてしまったからね。みんな楽しめなかったと思う。だから今回は3ラウンドやろうと思ってるよ。でも早いフィニッシュがご希望ならそうするよ」
ある記者が言った。「確かにそうだろうな。どんな試合になるかはメイウェザー次第。それだけの練習を見せられたよ」。
メイウェザーとは、何者か?
メイウェザーは45歳。現役を引退して5年になる。どんな名選手も必ず衰える。それは朝倉に有利に働くはずだった。だがもしかしたら、メイウェザーは“引退して5年しか経っていない、その5年も練習している45歳”なのかもしれない。
「そんなわけで、そろそろショッピングに行かなきゃ」
取材陣を笑わせてジムを後にしたメイウェザー。彼のもう一つのニックネームは“TBE”である。THE BEST EVER、すなわち史上最高。どこまでも掴みどころがなく、しかし単なる“引退した元チャンピオン”ではない。RIZINも朝倉も、とてつもない存在を相手にしていると言っていい。メイウェザーの練習を何度か見ているという榊原CEOは言った。
「モンスターですよ」
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